可能性秘め2回目開催(前)/「AFF・名古屋」/質の高い提案内容

2016年07月11日 (月曜日)

 中国を中心とするアジアの繊維製品OEM(相手先ブランドによる生産)/ODM(相手先ブランドによる企画・生産)企業の展示会「AFF」(アジアファッションフェア)の大阪展と東京展は、見逃すことのできない展示会として完全に定着した。両展に並ぶ第三のAFFに成長する可能性を秘めているのが名古屋展だ。昨年6月の第1回展が、大阪展、東京展の初回に匹敵する1500人以上の来場者を集めたことが、そのポテンシャルの高さをうかがわせる。飛躍の可能性を秘めて先週開催された2回目の「AFF・名古屋」を振り返る。

 5000平方メートルのAFF・名古屋の会場に、「エー・エフ・エフ♪」との歌声がかすかな音量で流れる。これは、AFF・名古屋のために制作したPRムービーの音楽だ。動画サイト、ユーチューブでの同ムービーの視聴数は80万回近くに達した。主催者の新たな趣向の中で、中国を中心とする87社が95ブースで様々な提案を繰り広げた。前回展よりも出展者数は減少したが、各社の提案内容は興味深かった。

 今回のAFFでは、布帛ウエアなど取扱商品別に6つのゾーンに分けて、出展者を配置した。布帛ウエアゾーンでは、従業員200人の工場を持つ浙江省の嘉興思凱服飾が展示したフライトジャケットが、折からの“MA―1”(フライトジャケットの一種)ブームの中で注目された。同社はこれまで、主に欧米向けに同ジャケットを生産していたが、景気低迷で欧州向け生産が減ったため、日本市場からの受注拡大を狙い、今回展に出展した。

 縫製工場の維持が難しくなっているとされる江蘇省にありながらも、注文増に対応するために「200人ほどだった従業員を、360人に増やした」と語る婦人服メーカーも出展していた。南通市普蘭徳服飾だ。注文が増えているのは、ポリエステル・ジョーゼットなど他工場が敬遠するような薄手の織物の縫製に定評があるからという。

 注目度が高まっている東南アジアの工場を紹介するゾーンへの出展者の数は2社にとどまったが、それぞれの提案内容は興味深かった。

 中国・江蘇省の南通弘業進出口はミャンマーで、450人規模の工場に加え、1200人規模の工場を設けることをアピールしていた。小ロット、短納期、多品種をアピールする中国の工場と、大ロットながらも安価をアピールする東南アジアの工場の話を同時に聞くことで、アジアでの日本の繊維製品生産の今後が、おぼろげながらではあるが見えてきたような気にもなった。