カケン/ジネテックスと許諾契約/新ケアラベル記号使用で

2016年07月25日 (月曜日)

 カケンテストセンター(カケン)は3月にフランスのジネテックス、コフリートと「ジネテックス及びコフリートのWIPO(世界知的所有権機関)登録商標である繊維製品取扱い記号に関する知的財産使用許諾契約」を結んだ。6月3日のカケン理事会でこの業務の運営方法が決まり、カケンは日本企業に対する海外での繊維製品取扱い記号(ケアラベル)の使用許諾業務を開始した。

 ジネテックス(繊維取扱い表示ラベルに関する国際協会)は、パリに所在するNPOで、1975年から表示マーク体系の開発に従事する。ジネテックスは各国ごとに1者のみをメンバーと認め、現在22カ国がメンバー国となる。コフリートはフランスのジネテックスメンバーである。

 一方、日本のケアラベルは現在、JIS L0217に従って表示されている。衣類などの生産や流通が国際化し、取扱い表示もJIS規格とISO規格との整合性を求められ、経済産業省は2014年10月にJIS L0001(以下新JIS)として新しい「取扱い表示記号」を制定した。消費者庁も「衣料品の取扱い表示に関する繊維製品品質表示規程」を改正し、本年12月1日から新JISの内容で施行される。

 この新JISは41の表示記号を定めるが、5つの基本記号をベースにするISO3758に整合化されている。ジネテックスはこの五つの基本記号について知的財産権を有しており、ジネテックスが商標権を得た国・地域での使用はジネテックスの許諾が必要だ。既に欧州のフランス、イタリアなど11カ国で商標権は成立し、申請を含めれば40カ国余になる。

 今回のカケンとジネテックスとの契約では、日本企業が日本国内で五つの基本記号を使用しても、使用許諾は不要で、使用料を支払う必要はない。商標権が成立している国への輸出や外・外貿易では、知的所有権が発生するが、従来のように海外で許諾を得なくても、国内(カケン)で使用許諾を受けられる体制となった。海外での使用者は「記号の適正使用、販売数量報告、年間使用料の支払いが義務付けられる」(カケン長尾梅太郎理事長)。

 年間使用料は海外販売額が12億円以下で18万円、240億~600億円以上で120万円など販売額により異なる。日本は特例として2億5000万円以下の企業は、経済団体を通じて一括契約も可能。「販売額1億円企業が10社集まれば、1社1万8000円負担で済む」と言う。