ヒットの予感を現実へ(2)/16秋冬ワークウエア分析/多様化する生地を使いこなす

2016年08月16日 (火曜日)

 今年の春夏物では、東レが開発した、特殊な断面形状を持つ高機能ポリエステル短繊維を使い合繊の高い機能性と天然繊維の質感を備えたユニフォーム用素材「ペンタスUF」の採用が目立った。今秋冬の新商品では、ペンタスの秋冬版となる「エアレットUF」を採用したウエアが多く見られた。最大の特徴は軽量と保温性。同社の「ライトフィックス」糸を織り込むことで、ポリウレタンが入っていなくてもストレッチ性があり、抜群の着用感を実現できる。

 実際、アイトス(大阪市中央区)やサンエス(広島県福山市)、ビッグボーン商事(同)、中塚被服(同)など多くの企業が今秋冬の新商品で採用。中塚被服は春夏からの連動企画として「ディモ」D511シリーズを投入し、多色展開で幅広く提案できるデザインに仕上げた。同社は納入向けが中心だが、ペンタス使いの春夏物では「着用感を気に入ったショップから引き合いもあった」と言う。

 以前は無地が多かった生地の柄も多様化しつつある。山田辰(大阪市城東区)は、ツナギ服「ザ・マン」ATO―2シリーズでクラボウが開発したヘリンボン柄のデニム調素材「デニムニ」を採用した。裏表で違った色に染め分けし、袖をめくった際におしゃれ感を演出する。中国産業(岡山県倉敷市)は「ドッグマン」8675シリーズで、経糸に濃淡2種類の染め糸でスラブ糸をミックスしたデニム調の織物を採用。独特の“タテスジ感”がハードな印象を受ける。

 チェック柄も増える傾向にある。寅壱(同)は、オンブレーチェック柄を使ったワークウエア7560シリーズを開発。前身頃の上下のダブルメタルボタンやポケット部分のドットボタンなど、他社にないデザインを追求した。ビッグボーン商事は、「スマートワークウエア(SWW)」でギンガムチェック柄のウエアを商品化。ワークだけでなくサービス、介護などへも販路を広げる。

 サンエスやシンメン(広島県府中市)は、ジャカード織り素材のブルゾンを開発。プリントとは違った高級感のある風合いで、店頭にあれば間違いなく目を引く。

 オフィスウエアでトレンドのニットは、ワーキングではまだ限定的だ。旭蝶繊維(府中市)は既に2年前、抗ピリング加工した軽量ニット使いのワークウエア118シリーズを打ち出していた。これからのトレンドを見据え、今秋冬展で改めてアピールした。

 アイトスは「アジト」で、前身頃にストレッチ布帛、後ろ身頃にニットという、着心地を追求したハイブリッドスタイルのウエアを開発。コーコス信岡(福山市)は、袖は布帛、身頃はニットを使ったコンバットシャツを打ち出した。明石スクールユニフォームカンパニー(倉敷市)は、業界にあまりない、作業服にもなるニットジャケットを開発、独自のパターン“スマートワン”企画で抜群の着心地の良さを実現した。ニットを使った商品はまだこれからの段階だが、今後は間違いなく増えていきそうだ。