東洋紡/100%バイオ樹脂商業化/高いガスバリア性特徴

2016年09月07日 (水曜日)

 東洋紡はこのほど、100%バイオ由来の樹脂、ポリエチレンフラノエート(PEF)を製造することでオランダのバイオベンチャー、アバンチウムと合意した。PEFは一般的なポリエステルであるポリエチレンテレフタレート(PET)と比較して高いガスバリア性が特徴だ。PEFを商業生産するのは東洋紡が世界初となる。

 PEFは、エチレングルコール(EG)とフランジカルボン酸(FDCA)の重合体。FDCAはバイオ由来の糖質原料から合成するため、これまで既にあるバイオ由来原料のEGと組み合わせることで100%バイオ由来の樹脂を作ることが可能だ。

 アバンチウムがFDCAをバイオ由来原料から高効率に製造する技術を開発しており、このほど重合に関する豊富な技術実績を持つ東洋紡と協力することでPEFの商業生産が可能になった。重合は東洋紡の岩国事業所で行い、FDCAはアバンチウムが供給する。樹脂のほか東洋紡でフィルムにもする。また、アバンチウムが繊維化に関する研究も進めている。

 PEFはPETと似た物性を持つが、大きな違いは高いガスバリア性だ。PETとの比較で酸素に対して10倍、水蒸気に対しては2倍のバリア性を確認している。このため、食品包装やボトルなどさまざまな用途への採用が期待されている。

 樹脂、フィルムの販売は、既にアバンチウムと契約している三井物産と協力して行う。アジア市場向けフィルムと日本向けボトル用樹脂は三井物産が販売権を持つ。2017年からサンプル提供を開始し、用途・市場開拓を進める。