中国縫製 今とこれから/「AFF・東京2016」レビュー(前)/生産タイト化に危機感
2016年10月04日 (火曜日)
「AFF・東京2016」が30日、閉幕した。出展企業の打ち出しを振り返ると、輸入金額・数量で7割前後を占めるその規模以上に日中繊維貿易が密接な関係にあることが分かる。足元の生産状況、今後の方向性に向けた戦略の2点で、その実態を追う。
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対日生産をメインとする出展企業から聞こえてきたのは、生産タイト化に対する懸念だ。2017年の旧正月(春節)休み予定に対して、例年よりも発注の遅れが目立つようだ。
100%日本向けを手掛ける生産貿易一体型企業の偉綸織造では自社ニット工場の稼働状況が例年とは違う。本来、閑散期に当たる5~6月には「夏セール用、秋冬用生産で忙しかった」と話す。日本市場の低迷で、売れ筋商品を見極めてから追加の商品を発注する傾向が強まっていることが、同社の稼働状況に表れている。
今後、本格化していく春夏生産でも同様の状況が発生しており、特にこれに対する懸念が強い。来年の春節休暇は1月27日~2月2日の7連休が予定されている。1月中旬ぐらいまでには、春物の生産を終えていなければならないが、偉綸織造だけでなく、キッズカットソーを手掛ける青島正謙楽客国際貿易も「次の春夏に向けた見積もり、サンプル依頼、オーダーが入り出す時期だが、売る商品に迷いがあるせいか、例年より遅れている」と語り、大阪に本社を持つ華邦産業貿易も「最終ジャッジの遅れが生産のタイト化につながることが心配」との懸念を示した。
このため、各社とも早期発注をアナウンスする活動を進めているが、今後に向けた見通しは不透明で、必要な時期にオーダーがあふれ、対応できなくなる可能性や納期遅れなどの生産トラブルの恐れを指摘した。
ただ、受注数量については前年同期比で横ばいから微増となっている企業が多かった。婦人布帛アウターでは日本の市場環境を受けて厳しい状況にある企業があったものの、QRを念頭に置いた、東南アジア生産からの回帰が一部見られるようだ。
実際、この点の対応力を強調した企業は今後の中国生産の在り方を冷静に捉え、取り組み拡大に自信を見せる。