学生服アパレル15年度決算/目立つ“過去最高”/今期も攻めの姿勢崩さず

2016年10月14日 (金曜日)

 学生服アパレル大手4社の2015年度決算が出そろった。制服の値上げが進んだことや、昨年のような消費増税に絡む反動がなかったこと、今年の入学商戦でのモデルチェンジ(MC)校が増加したことなどで、前年度から一転し4社全てが増収、営業・経常増益となった。

 15年度決算は、MC校が前年より34校増の201校(ニッケ調べ)と3年ぶりに200校を超え、制服の販売が伸びたことで好決算が目立った。中でもトンボ(岡山市)、明石スクールユニフォームカンパニー(明石SUC、岡山県倉敷市、決算内容は事業持株会社の明石被服興業)が売上高、営業・経常利益で過去最高だった。

 創業140周年を記念したプロジェクトを昨年から推進してきたトンボは、「ブランディングを強化してきた」(近藤知之社長)ことで順調にMC校を獲得、制服の売り上げが初めて200億円を突破した。

 明石SUCは、人気アニメを起用した詰め襟学生服の新入学キャンペーンが販促に貢献。学校別注、店頭商品、スポーツ、企業向けユニフォームの「4事業部とも健闘した結果」(河合秀文社長)が増収に寄与した。

 菅公学生服(岡山市)は、3年前から開催するソリューションフェアなど「企業としての取り組みが理解され、ブランドや企業力が評価されてきた」(尾﨑茂社長)結果、MC校獲得が校数、獲得率とも前年を上回った。

 瀧本(大阪府東大阪市)も「学校別注の獲得と価格見直しが奏功し」(高橋周作社長)、増収を確保した。

 今期は、瀧本を除く3社が増収を計画する。少子化で生徒数が減少する傾向にあるが、「現実を受け止めながら、できることをしっかりやる」(尾﨑社長)というのが各社の基本的な姿勢。業界が再編する中、「生産拠点が減り、地方のアパレルの中にはモノ作りができないところも出てきた」(近藤社長)こともあり、市場拡大の余地が少しでもあれば攻め込む姿勢を崩さない。

 トンボは新中期経営計画「アクション300」を発表し、19年6月期に売上高300億円を目指す。目標のハードルは高いが、「イーストボーイ」など新ブランドによる市場開拓を進め、「結果を出していきたい」(近藤社長)と言う。

 明石SUCは今期に入ってからも堅調で、目標は「達成可能とみている」(河合社長)。詰め襟服を生産するアクシーズソーイング(沖縄県糸満市)を拡充。ジャケットなど別のアイテム生産にも乗り出し、多様化する学校別注への対応を強める。

 菅公学生服では、移転増設を進める学生スラックス生産の高城工場(宮崎県都城市)が11月末に開所式を予定。新しい裁断センターも来年には稼働する。工場の自家比率が高いだけに利益率が他社に比べ低いが、「技術革新を進め、生産基盤をしっかり持つ強みを発揮する」(尾﨑社長)。

 瀧本は生産本部に商品MDと在庫管理を担当する新たな部署を設置。「商品MDの精度を高めることで在庫を残さない生産体制」(高橋社長)の構築を進め、売り上げの維持に努める。