特集/ITMAアジア+CITME2016/アジア最大のプラットフォーム(1)

2016年10月18日 (火曜日)

 アジア最大の国際繊維機械見本市「ITMAアジア+CITME2016」が21日から25日まで中国・上海で開催される。中国のみならずアジアの繊維機械市場にアクセスするプラットフォームとして、その重要性は無視できない。そこで今回の特集では有力出展企業の出展内容をプレビューし、その見どころを紹介する。

〈新会場で1600社以上が出展〉

 ITMAアジア+CITME2016は、今回から新設の中国国家会展センター〈上海〉(NECC)に会場を移しての開催となる。NECCは147万平方メートルの規模を持つ世界最大級の複合展示・コンベンション施設だ。上海市内の虹橋地区に近く、地下鉄を経由して虹橋空港、虹橋駅に接続されるなどアクセスにも優れる。アジア最大の国際繊維機械見本市の会場にふさわしい威容と言えるだろう。

 今回展には27カ国・地域から1600社以上が出展し、日本の繊維機械メーカーも中国子会社も含めて数多くが参加する。各社とも最新機種を中心に展示・実演をする予定。

〈省人化・環境負荷低減も焦点〉

 中国での展示会ということもあり、やはり最大の見どころは各社が提案する高生産性と省エネルギー性に対するアプローチだろう。だが近年、中国をはじめとした新興国で問題となっているのが人手不足と人件費上昇だ。このためITMAアジア+CITMEで提案される機械も高生産性だけでなく省人化のためのシステムなどソリューション全般へと広がりを見せる。

 最近ではIoT(モノのインターネット)といったキーワードも注目されているが、こうしたITソリューションへの関心が高いのは先進国だけではない。逆に従来の労働集約型繊維産業の行き詰まりが鮮明になっているだけに、新興国の繊維企業の方が高い関心を寄せている。このため今回のITMアジア+CITMEでは、IoTなど最新のITソリューションを繊維機械にどう応用するのかという問題に対する各メーカーの回答も見どころと言えそうだ。

 もう一つ、大きなテーマになりそうなのが“環境”だ。ここに来て中国をはじめ新興国では環境規制が一段と厳しくなった。かつてのような経済成長至上主義ではなく、繊維企業が立地する地域社会との共存共栄を志向するならば、環境負荷低減の試みは当然のことだ。

 このため中国など新興国に提案する繊維機械も、いかに環境負荷低減に貢献できるかが問われている。

 こうした問題に応える各社の提案も今回のITMAアジア+CITMEの注目点だろう。

〈来年1月に視察報告会/日本繊維機械学会〉

 日本繊維機械学会は2017年1月27日に大阪科学技術センター(大阪市西区)で「ITMAアジア+CITME2016(上海)視察報告会」を開催する。

 報告会では実際に展示会に参加したTMTマシナリー、豊田自動織機、村田機械、津田駒工業、日本マイヤー、日阪製作所、コニカミノルタの技術者が「合繊機械、紡糸巻取関係、加工機関係」「紡績機械」「革新精紡機」「自動ワインダー」「織機」「編み機」「染色加工機械」「インクジェット捺染機」のテーマで報告する。報告者によるディスカッションも予定する。

 定員70人。参加費は日本繊維機械学会会員1万5000円、非会員2万5000円、学生会員1000円、学生非会員3000円。問い合わせ・申し込みは、日本繊維機械学会(電話06・6443・4691)まで。

〈主催者から〉

《欧州繊維機械製造者協会(CEMATEX)会長/シャルル・ボデュアン 氏》

 アジアは世界最大の繊維機械市場であり、中でも中国は過去10年間で全ての繊維縫製機械の半分以上の設備が導入されてきた。このため今回もITMAアジアとCITMEが合同開催されることへの非常に強い反響に期待している。

《中国紡織機械協会(CTMA)会長/王 樹田 氏》

 今回展がこれまでのITMAアジア+CITME2016で最大のショーケースになると予想している。1600の出展者が参加し、展示規模は18万平方メートルに及ぶことが期待される。10月開催という新たな日程と合わせて、上海・虹橋のビジネス地区にある新しい会場は業界関係者に興奮を生み出すだろう。