繊維ニュース

トップインタビュー(9)/カケンテストセンター 理事長 長尾 梅太郎 氏/顧客ニーズに合わせた対応/グローバル化を支援する

2016年10月24日 (月曜日)

 検査機関のカケンテストセンター(カケン)は円高の影響で上半期は海外事業が減収となった。現地通貨ベースでは健闘しているものの、中国の見直しなどアジア生産は新たな選別の時代を迎えており、こうした変化に合わせた対応が求められている。国内も「顧客ニーズに合わせたサービスの提供、人材の育成」などに注力していく。

  ――取扱い絵表示は新ケアラベルに12月から切り替わりますが、ジネテックス(繊維取扱い表示ラベルに関する国際協会)の使用許諾業務はいかがですか。

 新ケアラベルの五つの基本記号はジネテックスが商標権を有します。国内で使用する分に問題はありませんが、商標権が成立している11カ国に輸出する場合は知的所有権が発生します。これまで海外で使用許諾を得ていましたが、カケンで使用許諾が受けられるようになりました。第1号の契約企業は近々出る予定です。また、輸出向けケアラベルを作る副資材メーカーも、ただ五つの記号を並べるのではなく、ジネテックスのテクニカルブックレットに従って製作する必要があります。そうした情報を提供しています。

  ――新ケアラベルや特定芳香族アミン規制などのセミナー開催も積極的です。

 毎日、どこかでというくらい内外でセミナーを開きました。各事業所で人材養成し、海外では現地スタッフも説明できるようになった。一方、国内各事業所では局所排気装置を設置し、スタッフの労働安全衛生環境整備も進めました。

  ――上半期の状況は。

 国内は4~9月期で手数料収入は前年比2・4%増ですが、海外は4~8月期で8・5%減でした。トータルでもマイナスとなりそうです。国内は東京、東海事業所が好調でしたが、他は厳しかった。海外はまだら模様です。中国では青島が苦戦ですが、他は堅調。インドネシアとベトナムも好調です。海外の減収は為替の円高化によるもので、昨年と比べると2割近い目減りになっています。現地通貨換算では健闘しているのですが。

  ――下半期の見通しは。

 厳しい予想です。グローバルな事業展開を見直す企業も出てきました。また、為替がどのように推移するか。円高がさらに進むのか。上半期は特定芳香族アミンが法規制されて試験が増えましたが、最近は落ち着いています。新ケアラベルも12月以降は一服するでしょう。いずれにしても2期連続で事業収入が減少傾向にあり、このトレンドをどう変えていくかが重要になります。

  ――国内は衣料商戦の不振が続いています。

 少子高齢社会ですから、繊維の需要が大きく伸びる要素は少ない。中長期的に見てもこの状態が続くと考えた方がいいと思います。

  ――対応は。

 まず、検査機関としてニーズに沿ったサービスを提供していくという基本を堅守していくことです。同時に素材開発も進みます。機能性試験も増えました。そうした新しい試験にも対応していくことです。

 人材育成も重要です。頼りになる人材の厚みで、試験依頼も変わってきます。人事制度の見直しも行っていきます。現在、単体で売上高の3分の2が国内、残りが海外事業所です。連結ベースでは4割強が海外です。約6割が国内ですから、まず国内を底上げし、海外事業も拡大していく。日本素材を調達する海外の30ブランド以上から海外規格試験の依頼もあります。

 カケンでは提携機関と協力してRSL(規制物質リスト)に基づくサプライヤーの管理システムを支援する業務も行っています。大手スポーツアパレルなどグローバル企業は、自社製品の製造に関して、サプライヤーから供給される原材料、部品、さらに梱包材に至るまで、RSLに基づく有害な化学物質などの使用を規制しています。そうした海外法規制情報の提供、海外規格試験も強みです。

  ――来年度は新3か年経営計画が始まります。

 昨年9月に情報企業戦略を打ち出しましたが、それを総括して次の中計に生かします。

〈好きな街/心の落ち着く街〉

 「目黒区は住みやすい」という長尾さん。文京区、中野区、渋谷区などで暮らしたこともあったが、「目黒区は五本木、上目黒に住み、今は中町」に居を構える。「目黒区はこじんまりとして、商店街においしい店が多く、楽しい。公園も多く暮らしやすい」ようだ。

 海外ではロンドンの北西部のリージェンツ。ビートルズゆかりのアビー・ロード・スタジオも近くにあった。「緑も多く、落ち着いたたたずまいの街」だった。ともに心が落ち着く街である。

〈経歴〉

 ながお・うめたろう 1974年4月通商産業省(現・経済産業省)入省。92年6月日中経済協会北京事務所長、2001年8月環境事業団理事、2007年7月東京工業品取引所専務理事に就任。12年6月からカケンテストセンター理事長。