日系機械メーカーの中国内販/省人・差別化志向鮮明に/高付加価値製品が急伸

2016年11月02日 (水曜日)

 日系繊維機械メーカーの中国内販では、顧客のローカル企業の省人化や差別化志向が高まる中、こうしたニーズに応える一部機械の販売が急伸している。既報の通り、10月21~25日に上海市内で開催されたアジア最大の国際繊維機械見本市「ITMAアジア+CITME2016」の日系企業のブースでは、高付加価値製品が高い関心を集めた。

(上海支局)

 村田機械はITMAアジア+CITME2016で、紡績の最終工程で高速化を進め、省エネを実現できる自動ワインダーと、粗紡・精紡・巻き取りの3工程を1台で行い、さまざまな機能性を持つ糸を紡績する「ボルテックス」精紡機、機械の保全管理システムの三つを打ち出した。中でも注目されていたのがボルテックス精紡機。

 同機は今年上半期(1~6月)、売り上げが前年同期に比べ3倍弱に拡大した。春節(旧正月)明けの2月下旬から伸びが顕著になり、4~9月に急伸。現在も好調を維持しており、納期が約1年になっている。従来、自動ワインダーが内販の主力だったが、現在は売り上げベースの割合がボルテックス精紡機6割、自動ワインダー4割と逆転した。

 この好調の背景には、ボルテックス精紡機が得意とするレーヨン糸の市場拡大とともに、ローカル紡績が「何かしないと生き残れないという危機感を持ち、差別化を進めている」(村田機械〈上海〉営業本部繊維機械事業部紡機部の吉井淳経理)ことがある。

 島精機製作所は、「ホールガーメント」横編み機「MACH2XS」を前面に訴求した。同機は製品の高付加価値化を目指すローカルニッターへの導入が進んでいる。

 中国ニット産業は、海外からの注文の東南アジア諸国連合(ASEAN)地域への流出に苦しんでおり、広東省などで価格訴求商品を手掛けるニッターが淘汰(とうた)されている。こうした中、「中国のニッターが今後成長していくためには内需の取り込みが不可欠。中国の消費者が求める新しい商品を顧客が投入できるようにバックアップをしていく」(梅田郁人常務)と、同社は今年6月、上海で研究開発センターを立ち上げるなど積極的な動きを見せる。

 染色加工の分野でも高付加価値志向の高まりが顕著だ。今回展では2年前の前回展と比べ、染色加工関連の出展が大幅に増えた。中でも目立ったのが、インクジェットプリンターの出展。日系では、コニカミノルタとミマキエンジニアリングの高速機が関心を集めていた。

 染色仕上げ器メーカーの日阪製作所は、液流染色機のデモ機を前面に打ち出した。今年は合繊メーカーの〝勝ち組〟への高付加価値製品の販売が伸びている。同展では、液流染色機を生かした高難度・付加価値品への対応策を提案し注目されていた。