東レ/芯鞘構造で蒸れ感軽減/「モイスト+」開発

2016年11月11日 (金曜日)

 東レはこのほど、高吸放湿性で蒸れ感軽減と静電気抑制を合わせて実現したナイロン織・編み物「モイスト+」を開発した。独自のポリマー技術、製糸技術、高次加工技術を組み合わせ、芯に特殊吸放湿ポリマーを配した芯鞘構造糸を原糸に使うことで機能を実現している。18春夏向けから通年素材として販売を開始し、17年度10万メートル、20年度には50万メートルの販売を計画する。

 モイスト+は、新たに開発した特殊吸放湿ポリマーを芯部に、ナイロンを鞘部に配した芯鞘構造ナイロン糸を原糸に使用する。吸放湿ポリマーの働きで通常のナイロンの約3倍の吸放湿性を持ち、湿度の高い状態では湿気を吸収し、湿度の低い環境では湿気を放出する。このため夏場の高温下や冬場の暖房の効いた環境下では衣服内の蒸れ感を軽減する。

 吸湿性とポリマー構造を制御で制電性も併せ持つ。摩擦時耐電圧は通常のナイロン素材の5分の1の水準となり、冬場の乾燥による静電気発生を抑制する。テキスタイル加工技術で接触冷感性も付与できるほか、撥水加工を施しても吸放湿性や制電性は低下しない。快適性に焦点を当てた頂点商品と位置付ける。

 従来の紡糸技術では2種類のポリマーの機能を維持したまま芯鞘構造糸を紡糸することが難しかったが、先端複合紡糸技術で紡糸条件の最適化に成功したことで実現した。染色加工の難度も高いことから、東レでは原糸ではなく織・編み物として販売する。スポーツ・アウトドア用途への提案を進め、将来的にはインナーへの応用も視野に入れる。

 東レの浅田康治スポーツ・衣料資材事業部長は「これまで、こうした機能を持つ画期的な素材が欲しかった」と手応えを示す。

 モイスト+は11月21、22日に東レ大阪本社(大阪市北区)、11月29日~12月1日に東レ東京本社(東京都中央区)で開催する「2018年春夏東レスポーツメッセージ展」で披露する。