学生服アパレル/制服の価値向上重視/学校にとって“不可欠な存在”へ

2016年12月05日 (月曜日)

 学生服アパレルは、制服の価値を高める動きを強めている。「制服の価格が高い」という一般紙の一連の報道を受け、制服の必要性、制服文化の意義を改めて訴えるとともに、制服供給だけでなく学校教育にも踏み込んだ取り組みを進めることで、学校にとって“不可欠な存在”を目指す。

 菅公学生服(岡山市)は、3年前から「スクールソリューションフェア」という形で異業種と連携し、“学校のパートナー”としてのさまざまな施策を提案する総合展を開催してきた。東京のソリューションフェア以前の形での展示会では80校ほどの来場者だったがが、昨年は160校へ倍増し、今年10月には200校以上と大幅に増えている。

 今回の商品展示のブースは「デザイニング」をテーマに掲げ、モノ作りとコト作りの提案を融合。「アースミュージック&エコロジー」とのコラボは、ガーリーらしさを出した服作りにとどまらず、女性の活躍やエンパワーメント育成支援、学生生活支援のためのキャリア教育メニューも打ち出した。

 「制服の価格が高い」という一般紙の報道が続く中、経済性でも制服に優位性な点を改めて訴える。明石スクールユニフォームカンパニー(明石SUC、岡山県倉敷市)は11月、東京や大阪で開いた総合展で、「仲間・帰属意識の醸成」「安全性の向上」「規律の学習」に「経済性」を加えた四つの観点から来場者に学生服が担う多様な役割をアピール。特に経済面では、新潟の公立高校が私服から学生服にしたところ個人出費がより低くなったことを例に挙げ、学生服に優位性があると訴えた。

 同社は昨年PRキャラクターも設定。学生服のユーザーである10代に制服をより身近な存在としてアピールしながら、制服が持つ魅力や価値を改めて掘り起こす。

 学生服アパレルは制服や体育着の供給だけでなく、学校教育をサポートするような取り組みも強化している。菅公学生服は、未来を担う子供たちの“生きる力”を育成する学校教育のサポート事業を本格化するため、「一般社団法人カンコー教育ソリューション研究協議会」(東京都渋谷区)を8月に設立した。尾﨑茂社長は「一企業だけでなく学校や企業も巻き込みながら、キャリア教育を広げていきたい」と、新たな試みの狙いを話す。

 トンボ(岡山市)は、玉野本社工場(岡山県玉野市)で開かれる11月29日の「いい服の日」イベントが恒例化。今年で7回目となり、社内だけでなく全国の学校とのつながりも深めている。これまでのアイデア提案の募集だけでなく、今回からデザイン画も募集。アイデア提案が21校(昨年12校)から477点、デザイン画が22校から311点集まり、双方の部門から学生が応募した3点を優秀賞として選んだ。

 中には「ジェンダーレスな制服」といった時代を反映するようなアイデアもあり、「ヒントになるデザインをもらい、商品化につなげたい」と近藤知之社長。いい服の日のイベントを今後も継続し、全国の学校を巻き込みながら「イベントの規模を大きくする」考えを示す。