繊維ニュース

環境特集(6)/環境への対応 周辺業界の動き

2016年12月06日 (火曜日)

〈非衣料分野の機能試験も/QTEC〉

 日本繊維製品品質技術センター(QTEC)はさまざまな機能性試験を行う。対象も衣料だけでなく、広範にわたる。

 福井試験センターはプライバシー保護や防犯を目的にした部屋の中が見えにくいカーテンの評価方法として「遮像性試験QTEC法」を考案した。この試験は昼間と夜間の二つを想定し、報告書にはカーテン越しに撮影した写真も載せる。

 カーテン関連では防炎性試験、採光性試験や光拡散性試験などをはじめ、花粉付着性試験や防汚性試験なども実施する。衣料品関係でもスポーツ関連のニット製品の遮熱性試験を行う。「JIS以外の新しい規格でもタイムリーに試験してほしいという要望が多い」と、新たな試験にも対応する。

 神戸試験センターの微生物ラボは抗ウイルス性試験を行うが、繊維だけでなく、プラスチック分野にも着手する。9月には微生物ラボ長が「ISO/TC61/sc6/wg7ベルリン国際会議」に出席。これはSIAA(抗菌製品技術協議会)国際標準化分科会の代表としてプラスチックの抗ウイルス性試験をISO制定するための会議である。

 東京総合試験センターでは生活用品などの各種試験を行うが、靴底の耐滑性試験の応用として、最近では靴下、ヨガマット、サッカーボールと靴の甲材などの耐滑性試験も行う。

〈試験開発+情報提供/カケン〉

 カケンテストセンター(カケン)は環境の変化に伴うさまざまな快適機能の試験を行う。物質が空気中の水分を吸着する際に発生する熱を利用し、暖かさを持たせるのが「吸湿発熱性」素材。カケンはこれを試験する方法として「吸湿発熱性カケンB法」を開発。国内で実績のある試験方法の技術的妥当性が認められ、2015年9月にはISO18782(繊維―動的吸湿熱発生の測定)として国際規格化された。

 安心・安全も社会的ニーズだ。大阪事業所生物ラボは設備を拡充し、抗ウイルス性試験専用の区画も整備した。ISO18184の抗ウイルス性試験のほか、抗菌試験、かび試験、防ダニ試験、バリア性試験も行う。

 東京事業所グローバルコミュニケーション戦略室は海外の法規制情報を収集し提供する。例えば今年4月に、欧州のREACH規制の制限対象物質リストが改正されたが、鉛の規制に新たな使用制限が追加された。「児童が口の中に入れる可能性がある一般消費者向け製品で、その製品またはその製品の接触可能なパーツに、金属として0.05重量%以上の濃度で鉛を含有するものは上市してはならない」という内容だ。

 カケンでは繊維製品や日用雑貨品など消費生活に関わる商品の含有成分や燃焼ガスの成分についての測定も行っており、誘導結合プラズマ発光分光分析装置なども保有する。

〈安全、安心ニーズは高い/ニッセンケン〉

 ニッセンケン品質評価センター(ニッセンケン)は繊維製品のエコロジーを推進する「エコテックス」、高視認性安全服試験など生活環境の中の評価試験に取り組む。

 ニッセンケンは主婦連合会とタイアップし、10月7日から約1カ月間、東京都千代田区の主婦会館プラザエフで企画展を開いた。「安全で安心な子供服・ベビー服を」をテーマに、「エコテックス」「高視認性安全服」「ひもの安全性」についてパネルと商品で説明した。

 また、11月には文化服装学院の文化祭でアパレル品質管理実習室の施設公開展示に協力。「エコテックス規格100」、児童向け高視認性安全服規格などについてパネル展示したほか、セミナーとパネルディスカッションも行った。

 「今回の二つのパネル展示ではベビー、子供服の安全性について触れたが、身近な問題だけに予想以上に来場者の関心が高かった」という。高視認性安全服分野では、日本交通安全教育普及協会が今月15日に「児童向け高視認性安全服規格」を発行する予定で、ニッセンケンも協力している。

 エコテックス規格100のロゴは10月に変更され、エコテックスファミリーとして「ステップ」(持続可能な生産工場のための認証)、「エコパスポート」(染料や助剤などの化学薬剤の認証)とイメージの統一化を図っている。

〈ファスナーの無水染色技術がグッドデザイン賞/YKKグループ〉

 YKKグループは1994年に「YKKグループ環境宣言」を制定し、事業活動の全ての領域で環境活動に取り組んでいる。2013年度からの第4次中期環境経営方針では、コーポレート・ガバナンス、グリーンイノベーション、環境価値の創造、持続可能性を重点テーマとした環境政策を進めている。

 具体的には富山県黒部市のYKKグループ各拠点で地下水熱利用空調を導入、まちづくりでも、黒部市のパッシブタウンは、自然エネルギーを活用。2025年までに約250戸の複合型賃貸集合住宅の建設を目指す。

 YKKとYKKAPの本社ビルであるYKK80ビルは10月に、ASHRAE(米国暖房冷凍空調学会)の主催する「2016ASHRAEリージョナル・テクノロジー・アワード」でアジア地区最優秀賞を日本で初めて受賞した。今年2月に米国グリーンビルディング協会のLEED-CS(Core and Shell)の新築テナントビル部門で「プラチナ認証」も取得しており、今回の受賞で高い省エネルギー性能や環境建物としてのレベルの高さを示した。

 技術面でもYKKのファスナーの無水染色技術「エコダイ」が「2016年度グッドデザイン賞」を受賞。ほとんど水を使わず、排水を出さずにファスナーの染色を可能にする環境に配慮した革新的な染色技術だ。