三菱ケミカルホールディングス/新会社の成長戦略推進/「統合効果・協奏」500億円に

2016年12月12日 (月曜日)

 三菱ケミカルホールディングスの越智仁社長は8日、東京都内で会見し、化学系3社子会社統合で誕生する三菱ケミカルの事業戦略について説明した。越智社長は「2025年の立ち位置から逆算して戦略を進める」とし、戦略的ビジネスユニット(SBU)を26に集約するなど、市場情報と技術力を最大限生かせる事業体制を敷く。従来200億円とみていた「統合効果・協奏」は、成長戦略の推進によって、「500億円になる」としている。

 三菱レイヨン、三菱化学、三菱樹脂の3子会社統合によって来年4月に発足する三菱ケミカルは、市場アクセスなどの観点から10事業部門を構成し、56あるSBUは集約する。同時に各SBUでのポートフォリオ改革の実行と管理業務の効率化を図るほか、約400の関係会社も約300社に整理・統合する。

 重点を置く市場は、自動車・航空機(モビリティー)、パッケージング・ラベル・フィルム、IT・エレクトロニクス・ディスプレー、環境・エネルギー、メディカル・フード・バイオの五つ。関連する事業部門が協奏しながら、最も有効な手段(海外展開強化やM&A・アライアンスなど)を講じて成長へとつなげる。

 そのほか、ステージゲート管理強化による開発速度の加速と達成度向上、購買・物流でのサプライチェーンの最適化、基幹システム統合による事業管理・経営管理の効率化などにも注力。20年には年間150億円の生産性向上を図る。

 これらの成長戦略により、当初200億円としていた統合効果・協奏は、300億円の上乗せが可能としている。これによって三菱ケミカルホールディングスが現在進行中の中期経営計画「APTSIS20」の2020年度の利益目標3800億円は「必達する」(越智社長)と言う。