創 新製品情報/東レ/革新技術が生んだ新素材/超極細微細捲縮糸使いの「ユーティーエス フィット」
2017年01月17日 (火曜日)
東レは、17秋冬シーズンのレディースとメンズの市場に、ポリエステル超極細微細捲縮(けんしゅく)糸使いのテキスタイル「ユーティーエス フィット」を新投入する。革新複合紡糸技術「NANODESIGN」から生まれた素材で、しなやかな風合いやコンパクトなかさ高性、伸縮性などを併せ持つ。織物と編み物のバリエーションをそろえ、トップスやボトムスなど幅広い用途で展開を図っていく。
新素材に用いられているNANODESIGNは、複数の原料樹脂を極めて多数の微細な流れに一度分割し、この多数の微細な流れを一気に吐出、合流させる紡糸技術だ。従来の複合紡糸では制約があった複合繊維の断面形態を、任意かつ高精度に設計することができる。複合化する樹脂も2種に限定されず、3種以上の使用が可能という。
一般的に、海島型の超極細繊維は、滑らかでしなやかな風合いといった特徴を有しているが、仮撚り加工などで島成分に捲縮を付与することが困難であるため、かさ高性や伸縮性が求められる用途に適しているとは言えなかった。
ユーティーエス フィットは、海島繊維の島成分を2種類の樹脂によるバイメタル構造としており、超極細繊維でありながら、スパイラル構造の捲縮が発現し、適度な伸縮性とコンパクトでしなやかな風合いの表現に成功した。
生地の加工段階で多数の微細捲縮を発現させることにより、多様な特徴も生まれる。一つが、微細捲縮が生地クリンプ間の隙間を埋めることによって得られる滑らかな表面感であり、正反射光の拡散によるマイルドでつややかな光沢もそうした特徴の一つとなっている。
そのほか、織物を構成している繊維相互の摩擦力が高められるため、織物の曲げ戻りを抑制する保型性も備えている。
〈海外ブランドへの提案も〉
「ユーティーエス」シリーズは、軽量感やソフトで繊細な風合い、合成繊維独特の光沢感を持つ上質なファッション素材として、エレガントテイストのレディースファッションを中心に世界の市場で高い評価を得てきた。
従来のシリーズでは有していなかった特徴を備えるユーティーエス フィットが新たに登場したことにより、ライフスタイルウエアとしての展開の幅が大きく広がった。シリーズ全体の拡販につなげていく。
17秋冬向けの展開ではポリエステル100%タイプをメインに、レディース衣料用途(アウター、ボトム、ドレス、トップスなど)やメンズ衣料用途(アウター、トップスなど)で提案を進めていく。
例えば、表面タッチやしなやかな風合いを生かしたものでは滑らかでコンパクトなストレッチ織物を、ソフトな保型性を訴求するものではボリューム形状保持中厚地織物などの展開が視野に入る。
18春夏シーズンからは、綿や麻をはじめとする天然繊維との組み合わせに加え、レーヨンなどと複合した織物・編み物も新たに打ち出していく計画だ。
国内マーケットでの訴求はもちろん、海外販売にも力を注ぐ方針を示す。海外市場での展開について、鈴木一弘婦人・紳士衣料事業部長は「輸出にはかなり力を入れたいと思っており、アッパーブランドへの提案強化を図っていく」とし、2月に開催される「プルミエール・ヴィジョン」など「海外展示会への出展・アピールも考えている」と話す。




