帝人・鈴木社長/産地との取引額270億円へ/次期中計はICT強く意識
2017年01月26日 (木曜日)
帝人の鈴木純社長ら同社グループ首脳は24日、金沢市内で会見し、2017年度の北陸産地との繊維取引額が16年度見込み額の266億円をやや上回る270億円となる見通しを明らかにするとともに、18年の創業100周年に向けて、「北陸産地にお力添えを頂きながら一緒に発展戦略を進めていきたい」(鈴木社長)と力を込めた。
同社グループと北陸産地との16年度取引額は、15年度実績の263億円から微増の266億円で着地する見込み。14年度は255億円、13年度は210億円であり、近年は同産地との取引拡大傾向が続いている。16年度の伸長にはメガスポーツアパレル向けに戦略素材である「デルタ」シリーズが好調だったことなどが寄与した。
鈴木社長は会見で、14年11月に策定した修正中期経営計画がほぼ計画通りに進展していることを強調するとともに、2月6日に発表を予定する次期中期計画について、「環境・省エネ」「安心・安全・防災」「少子高齢化・健康志向」が基本的なキーワードとなり、さらに「急激なICTの進化」に代表されるデジタルという要素を各事業に絡ませていく方向性であると示唆した。
トランプ新政権の誕生については、「まだ不透明であり注視していく。戦略の見直しが必要になるかもしれないが、何が起きても想定外という言葉を使うことのないよう企業努力を続けていく」と述べた。
遠藤雅也・帝人グループ常務執行役員高機能繊維・複合材料事業グループ長は、同事業の16年度が炭素繊維の航空機需要やアラミド繊維「トワロン」の自動車関連需要の拡大などにより全般的に好調に推移していると説明するとともに、17年度は熱可塑性炭素繊維複合材料「セリーボ」の本格展開や、840億円を投じて買収した米国のコンチネンタル・ストラクチュラル・プラスチックス社を活用した複合高機能材料製品のグローバル展開の加速などに取り組むと強調した。
日光信二・帝人グループ執行役員製品事業グループ長兼帝人フロンティア社長は、ポリトリメチレン・テレフタレート(PTT)繊維「ソロテックス」が16年度、前期比で40%増となり、17年度以降も30~40%増を計画することや、デルタが欧米スポーツアパレル向けで好調が続いており、今後もさらなる拡大が見込めることなどを強調。17年度は4月から新たに「繊維・製品事業グループ」が発足することに触れ、原糸から製品までの一気通貫体制が整い、「これまでにない事業体」としてさらなる付加価値提案に臨む考えを示した。
〈250人招き金沢で/新年互礼会〉
帝人は24日、金沢市内のホテルで北陸産地の取引先や帝人グループ関係者ら約250人を招き、「北陸新年互礼会」を開催した。
鈴木純社長の冒頭あいさつの後には谷本正憲県知事らが来賓としてあいさつを述べ、同社グループと産地との一層の関係強化に期待を寄せた。
同新年会は毎年、金沢と福井で隔年開催しており、今回は昨年福井での200人を大きく上回る250人が参加。同社グループと産地との関係強化を印象付けた。