東レ/海外拡大柱に成長図る/新中期経営課題を策定

2017年02月10日 (金曜日)

 東レは2017年度を初年度とする3カ年の新中期経営課題「プロジェクトAP―G2019」を策定した。3年間で海外売上高を1兆5000億円(16年度見通し1兆800億円)に高めるなど、グローバル事業の拡大と高度化を成長戦略の柱の一つとし、3年間合計で約3000億円を海外に投資する。そのほか、成長分野での事業拡大などに力を注ぎ、最終年度に売上高2兆7000億円、営業利益2500億円を目指す。

 新中経では、現中期経営課題「プロジェクトAP―G2016」の基本戦略を踏襲しつつ、「成長分野、国・地域における事業拡大」「競争力強化」といった基本課題にグループ一丸となって取り組む。その姿勢をより明確化するものとして、三つの基本戦略と五つの重点施策を定めた。

 基本戦略の一つが、グローバルな事業の拡大・高度化。アジアや北米だけでなく、欧州やアフリカなどを含め、あらゆる成長国・地域での収益機会を取り込んでいく。新中経3カ年の設備投資額5000億円の6割を海外とするなど、経営資源もこれまで以上に積極投下する。

 成長分野での事業拡大と競争力強化も基本戦略となる。成長分野は、地球環境問題などの解決に貢献するグリーンイノベーション事業と医療の質向上などに貢献するライフイノベーション事業と設定し、3年間で両事業合わせて3400億円の売り上げ拡大を見込む。

 競争力の強化では、トータルコストダウンと事業体質強化、営業力強化を進める。トータルコストダウンについては、3年間で2200億円の削減を見込んでいる。事業体質強化では収益性に問題のある会社・事業の課題を明確化し、収益改善に向け総力を結集する。

 重点施策は、(1)新事業創出(2)研究・技術開発、知的財産(3)設備投資(4)M&A・アライアンス(5)人材確保・育成――の五つ。新事業創出では、20年代に新規事業領域の形成が期待されるテーマを設定し、売上高1兆円規模の事業を創出。研究・技術開発では約2200億円の研究開発費を投じる。

 最終年度の業績指標では営業利益率9%、ROA(総資本営業利益率)約9%、ROE(株主資本利益率)約12%も目指す。繊維事業は売上高1兆1200億円と営業利益920億円が目標値となる。同社は、20年近傍を見据えた長期経営ビジョン「AP―Growth TORAY2020」で売上高3兆円と営業利益3000億円の到達を描いており、新中経はその達成に向けた総仕上げと位置付ける。