帝人松山事業所/開発拠点として技術集積/「技術開発センター」活用

2017年02月24日 (金曜日)

 帝人は昨年8月に開設した「技術開発センター」を核とした松山事業所(愛媛県松山市)への開発技術集積を進める。今月6日に公表した「中期経営計画2017―2019『ALWAYS EVOLVING』」の中で示されたテーマ「未来の社会を支える会社」を具現化する基礎技術、製品技術の開発から、実ビジネスへの落とし込みまでの多くの部分を同事業所が一元的に担う。

 このほど、技術開発センター内の防護衣料の火傷評価システム「PLIFF」と高靱性軽量構造材の試作・評価設備を本紙「繊維ニュース」に公開した。

 PLIFFは同社のメタ系アラミド繊維「コーネックス」など、耐熱、防炎繊維使いの防護服を多数の温度センサーが付いたセラミック製のマネキンに着せ、直接、火炎にさらすことで、人間が着用した状態に近い形での評価が行える。

 繊維の熱収縮に伴う火傷の重篤度や、防炎性のない面ファスナーの延焼過程など、PLIFFを用いなければ取得できないデータも多数あるという。同様のシステムを保有するのは世界でも21機関、国内では2機関のみで、民間ではPLIFFが唯一となる。

 防護服の差別化ポイントとして、快適さや柔軟さなどが必要とされるケースが出ており、新たな商品開発に活用される。

 高靱性軽量構造材の試作・評価設備では、高機能繊維と木材を組み合わせた木造建築用集成材「AFRW」の強度試験を公開した。センター内の専用機器で、試作した木製部材に荷重をかけ、変形や破断などのデータを収集する。設備ではAFRWだけでなく、繊維の引っ張り強度などのデータ収集もできる。

 高機能繊維事業本部生産・研究開発部門ソリューション開発部の尾崎大介部長は「集積により、ポリマーをはじめ原綿、原糸段階から最終製品を見越した開発ができる」と事業所の強みを話す。生産拠点として培われた松山事業所の資産に「外から風が入る」(尾崎部長)メリットもあり、素材の根幹技術の融合の場としても活用拡大を図る。