糸の新潮流/ヤーンフェアから(後)/環境プラスαの綿浮上/横編みの色は派手めに

2017年03月02日 (木曜日)

 綿の分野では、「環境に優しい」という要素にもう一つの価値を加えた糸が注目された。糸染めの茶久染色(愛知県一宮市)は、綛(かせ)染めにも引けを取らない柔らかさを実現したチーズ染色糸「デラソフト」を、オーガニックコットンを素材に披露した。まずは同コットン使いであることに注目して手に取り、そのソフトさにびっくりする人が多かったという。富士紡ホールディングスのブースでは、超長綿糸をコーミングする際の落ち綿と短い綿をブレンドした「エコマーク」付きのムラ糸が好評を得ていた。米国でも注目されており、同糸を使った丸編み地を昨年11月から同国へ輸出しているという。

 村田機械の渦流精紡機「ボルテックス」で紡いだ糸も目立った。モリリンは、トリアセテート短繊維と、リヨセルを中心とするセルロース繊維をボルテックスで複合した糸を初披露した。新内外綿は、得意とするメランジ糸を、昨年秋に導入したボルテックス機で紡績し、前面に出した。

 横編み用途の糸については、派手な色使いが新たなトレンドとして浮上してきた。太番梳毛糸の生産を得意とする三幸毛糸紡績(名古屋市中村区)は、「レインボウ」をテーマに、かすり染めした派手な色合いの糸を前面に出し、注目された。リリヤーンを販売するAMIu(アミぅ、愛知県江南市)も、スパークナイロンを絡めた糸への注目度は高かったと、横編み用途での色傾向が派手な方へ振れていることを示唆した。

 ラメ糸についてはその傾向が、より顕著に出ているようだ。クラウン工業(京都市伏見区)によれば、これまでの微光沢から「ギラギラ」感へ、需要が移行しているという。キョウトテックス(京都市伏見区)も、主流は依然として繊細で柔らかな光沢だが、ギラギラした糸のウエートが高まっているのは事実だと指摘する。同社によると、ラメ糸への需要は17秋冬向けから回復に向かっているという。

(おわり)