TYSMインドネシア/「特化したモノ作りを」/商社としての機能強める

2017年03月16日 (木曜日)

 豊島のインドネシア法人、TYSMインドネシアは差別化素材を活用した生地・製品開発と提案に力を入れる。岡部良輔社長は「インドネシアで生地・縫製品事業は特化したモノ作りでないと難しい」と強調。物流や金融など商社機能を強化した上で、プロダクトアウト型の提案が可能な組織・体制作りを進める。

 同社の2016年度(1~12月)業績は、綿花、テキスタイル、縫製品とも前半が堅調に推移したが、後半はやや勢いが鈍化した。同社の取り扱いは日本向けが主力だが、ここに来て日本のアパレル市況低迷が鮮明になっていることが要因である。

 特にテキスタイル販売は中国やベトナムなど他のアジア諸国の生産品などとの競争が激しい。このため差別化素材を活用した商品開発と提案に力を入れ、インビスタとの取り組みで涼感ポリエステル「クールマックス」などを活用した素材提案を進めた。ポリトリメチレン・テレフタレート(PTT)繊維使いの開発も進め、これら差別化素材の販売で成果が出てきた。

 こうした取り組みを17年度も強化する。従来はインデント取引による調達・販売が主流だったが、開発スピードを速め、QRを実現するために一部の特化わた・糸・生機を自前で備蓄する取り組みを開始する。岡部社長は「商社としての物流や金融機能を強化する」と話す。

 さらに縫製品のウエートも高まった。16年度もセーターの受注が15年度比3倍の規模になるなどインドネシア縫製の競争力が回復しつつある。カジュアル製品も拡大しており、こちらも精製セルロース繊維「テンセル」やPTT繊維使いなど差別化素材の活用で成果が現れ始めた。このため17年度も引き続き差別化素材活用による縫製品事業の拡大を進める。

 テキスタイル、縫製品共にさらなる業容拡大には特徴のあるモノ作りが欠かせないとして「プロダクトアウト型の提案ができる組織・体制を作る」ことにも取り組む考えを示す。