帝人フロンティア「ソロテックス」(3)/難度の高さが差別化の証し

2017年03月29日 (水曜日)

 需要家たちにとって「ソロテックス」とはどのような素材なのか――。産地企業やアパレルの声を紹介する。

【広撚】

難しい素材だからこそ意味がある

 「スパンデックスとは違うナチュラルなストレッチ性、ポリエステルでありながらナイロンのようなタッチ、織物にも編み地にも使える汎用性、綿などとの親和性の高さ」がソロテックスの特性だと話すのは、福井産地の産元商社、広撚の藤原宏一社長。同社とソロテックスとの出会いは古く、2002年に当時の旭化成と帝人が繊維製造・販売の合弁会社「ソロテックス」を設立した頃にさかのぼる。「品質や納期など諸問題を乗り越えて今に至る」

 同社のソロテックス使いのテキスタイルは高密度タフタが多く、メンズにもレディースにも展開。取り扱い数量は年々増え、ここ数年は安定している。ソロテックス100%もあれば、トリアセテートなどとの複合タイプも各種取りそろえる。

 「当初は本当に苦労した素材」と藤原社長。それは逆に言えば、簡単にはまねできない素材であるということ。今後も付加価値開発を進め、「(ソロテックスを)柱の素材に育てたい」と意気込む。

【第一織物】

最大の特徴は「上品さ」

 福井産地の自販型、輸出型機業、第一織物は「ディクロス」という自社生地ブランドを展開する。その中で幾つかのカテゴリーを用意するが、ソロテックスを使った「ディクロス・ソロ」も基幹カテゴリーの一つ。

 ディクロス・ソロには三つの軸がある。(1)主にアウター用途に使う“生ソロ”と呼ぶ100%タイプ(2)アウトドア向けがメインのコンジュゲートタイプの「ソロフレックス」(3)最近になって開発したセットアップなど向けポリエステルとの複合タイプ――だ。

 吉岡隆治社長によると、ソロテックスの最大の特徴は「上品さ」にある。「だから、深窓の令嬢のように丁寧に扱わないといけない」。中国に織布工場を持つ同社だが、ソロテックスの織物は100%国産であり、「海外ではできない」とその取り扱いの難しさを強調する。ノウハウの蓄積でこの難題を克服してきたことでディクロス・ソロの売り上げは年々伸長。今後も開発を続け、拡販を狙う。

【山田商店】

熱変化利用し風合い変化

 福井産地の産元商社、山田商店とソロテックスとの出会いは当時のソロテックス社初代社長から「何も言わず、取りあえず買ってほしい」と打診されたことから始まった。「簡単な糸ではなかった」(山田良造社長)が、糸自体に改良が加えられてきた上、織布、加工などの産地各工程で試行錯誤を繰り返したことで、量産化に成功した。

 同社はソロテックスの特性を「熱に敏感」な点にあると指摘する。この特性を利用し、主力のコート地向けを軸に熱加工による風合い変化のバリエーションを強みとする。

 輸出比率80%という同社だけに、今後は海外市場を意識しながら「(ソロテックスの)開発、提案を加速」していく。