特集 アジア戦略 4.0(17)/我が社のアジア戦略/東洋紡STC/明確になった方向性/アジア3極でニーズに応える

2017年03月31日 (金曜日)

 東洋紡STCは、インドネシア、マレーシア、中国のアジア3極でのモノ作りと販売を進めている。佐野茂樹社長は「各拠点とも方向性が明確になってきた」と指摘。さらに今後は納期対応力の強化やロス削減など生産・販売の高度化で販売先のニーズに応えていくことが重要になるとの考えを強調する。

〈自家工場の強み発揮〉

 東洋紡STCのアジア拠点のうち、販社と自家工場を保有する強みを発揮しているのがインドネシアとマレーシアである。特に東洋紡インドネシアは現地工場の統括に加えてアジア内販や3国間輸出を担当する。先行していた繊維に加えて、エンジニアリングプラスチックや包装フィルムも取り扱うなど東洋紡グループのアジア戦略の起点となりつつある。こうした中、佐野社長は「元々、繊維事業が先行して立ち上げた現地法人。本来の目的である内販と三国間ビジネスの拡大を進めることが今後の目標」と強調する。

 一方、編み立て・染色加工の東洋紡マニュファクチャリング・インドネシア(TMI)、縫製のSTGガーメント(STG)は、自家工場として東洋紡STCのニット生地・縫製品事業の中核的役割を果たす。STGは現在、ニット製ドレスシャツ「Zシャツ」のほか大手シャツアパレルや量販店向け布帛シャツの縫製が主力だ。

 佐野社長は「取引先とのパートナーシップを深めることで、東洋紡素材の採用が増えてきた。国内工場で開発した素材を打ち出す『井波プロジェクト』の成果」と、国内工場と連携した開発・生産でも成果が上がってきた。同時に今後の課題として「TMI、STGともに納期対応力の強化や生産ロスの削減が重要になる」と指摘する。

 一方、マレーシアの東洋紡テキスタイル・マレーシアはシャツ地や寝装テキスタイルの製織と梳毛紡績の拠点。「構造改革も完了し、自家工場として活用する体制が整った。綿、ウールともに日本への持ち帰りビジネスの主力生産拠点として活用する」と話す。

〈コンバーティング機能も発揮〉

 東洋紡STCにとって中国は大手スポーツアパレルやインナーアパレルに向けて生地・製品のコンバーティング機能を発揮することが重要になる。そうした中で、自社製生地の採用を拡大していくことで他の海外子会社との連携も模索。スポーツ分野では柔道着など成果も既に上がりつつある。

 佐野社長は「中国に関しては現在あるインフラを活用することが重要」と指摘。特に今後は東京オリンピックに向けてスポーツやユニフォームなどで特需も期待できることから、その役割は一段と大きくなると考える。

 東洋紡STCのアジア戦略の中心となるインドネシア、マレーシア、そして中国。アジア3極の拠点を生かしながらメーカー系商社として取引先のニーズに応えることを目指す。こうした取り組みをさらに他のアジア諸国にも広げることになる。既にベトナムでは大手ユニフォームアパレルとの取り組みでワーキングウエアの縫製も始まった。東洋紡STCのアジア戦略は今後も進化を遂げることになる。

〈インドネシア/内販、輸出に筋道/スポーツ、「Zシャツ」生かす〉

 東洋紡グループはインドネシアに統括・販売の東洋紡インドネシア(TID)、編み立て・染色加工の東洋紡マニュファクチャリングインドネシア(TMI)、縫製のSTGガーメント(STG)を持つ。特にスポーツウエアやニット製ドレスシャツ「Zシャツ」の主力生産拠点を持つ。こうした強みを生かし、インドネシア内販と欧米輸出に取り組む。

 和田達樹TID社長兼TMI社長によると、TMIの16年度業績はニットシャツ用生地がリードする形で好調に推移した。スポーツ用生地も12年に導入したピン仮撚り機を活用した野球スライディングパンツ用などが拡大。ポリウレタン非使用ストレッチ生地「テクニスタ48」の生産も本格化するなど「用途が多様化し、繁閑格差が縮小したことで収益性が改善した」と話す。

 STGもシャツ縫製はZシャツが堅調。スポーツもゴルフウエアへの特化が成功した。

 こうした中、今後力を入れるのがTIDによるインドネシア内販と欧米への三国間輸出。特に内販は「改めて市場分析を実施した」ことでZシャツが一部百貨店で販売がスタート。さらに今後はオフィスユニフォーム向けでも提案を進める。いずれも「長期的視点で取り組む」との考えである。欧米への輸出は営業担当者の現地への出張を増やすとともに、東洋紡グループの米ニューヨークと独デュッセルドルフの拠点との連携を強化。インドネシア縫製を生かした製品提案に軸足を置く。

 一方、生産拠点として効率化や高度化にも取り組む。TMIは日本の開発品の導入も進めるほか、人材育成として現地スタッフを日本に派遣する研修もスタートした。STGは新たにテープ縫製設備し、シャツ縫製の拡大を進める。生産管理のトータルシステムも昨年導入した。日本ともネット接続する予定で、IoTを活用した生産・販売効率化に取り組む。縫製スタッフを日本のグループ縫製会社や取引先の国内縫製工場に派遣する研修を開始する。