AFF・大阪 2017レビュー(中)/アジア繊維産業のいま/東南・西南アジアに活気
2017年04月19日 (水曜日)
今回の「AFF大阪・2017」の出展者数は321社でそのうち東南・西南アジア企業は35社だった。全体の1割程度だが各ブースでは会期中連日、活発に商談をする姿が見られた。
東南・西南アジア企業といっても、中国の出資で設立した中国系企業と、独自に起業した現地企業と大きく二つに分けられる。共通するのは低コストでの大量生産だが、中国企業による東南・南西アジア企業は、従来の高付加価値・少量商品だけでなく低コスト・大量生産も既存顧客から受注するための切り札。これに対し、後者は中国系に比べさらに低い水準の生産コストをてこに他社からの切り替えや新規大口受注獲得を狙う企業が多い。
中国系企業は親会社の大陸での生産ノウハウを直接、工場で生かしているため一定の技術水準があるのに対して、現地で独自に開業した企業は、人材育成や技術面での限界が指摘される向きもある。
江蘇海企国際股●(中国・南京市)は、作業服、カジュアルウエア、ダウンジャケットを全て日本向けに製造する。2年前にミャンマーに系列工場を立ち上げ、今回初出展した。楊新宇氏は「生産効率が大陸に比べて30~50%と悪い」と話し、「今後5年間で人材を育て品質、効率を上げていく必要がある」と課題を挙げた。
バングラデシュのアルズコーポレーション(ダッカ)は昨年独力で設立したばかりで、綿100%のTシャツ、ポロシャツを日本に向けて販売する。ブースには「1枚230円~」の札。カジ・アルズCEO(最高経営責任者)は「中国で綿素材をこの価格で製造することはできない」とコストメリットを強調し、「将来的には大阪にオフィスを持って取引を拡大したい」と話した。
レディースアパレルの華邦国際集団(大阪市西区)は3年前、江蘇省無錫市の工場に加えダッカに工場を設立した。中国でテキスタイルを生産しアイテムによって縫製工場を分ける生産体制をとる。営業担当の鴻池一也氏は「納期に余裕があって技術的に容易なものがバングラデシュで、逆にニットと布帛を縫製するような技術練度が必要なものは中国での縫製となる」と話す。
(●はにんべんに分)