綿紡大手の繊維事業 17年3月期/全社減収も3社増益/体質改善の進展目立つ

2017年05月16日 (火曜日)

 綿紡績大手の2017年3月期連結決算は、7社中4社で減収となったが、6社が営業増益を果たすなど、利益面の改善が進んだ。繊維事業についても、全社が減収となったものの、3社が営業増益となり、1社は赤字幅が縮小した。減益あるいは赤字幅が拡大した企業でも、負の遺産の整理など、体質改善が目立った。各社の繊維事業の業績を紹介する。

 繊維事業の営業利益が増加したのはダイワボウホールディングス、クラボウ、シキボウの3社。

 ダイワボウHDは、ブラジルでの紡績事業とインドネシアでの縫製事業の再編による5億円の減益要因があったが、それでも3・3%の増益を果たし、2期連続で過去最高益を更新した。7社中で最も高い対売上高営業利益率も、0・2ポイント上昇し、4・5%となった。

 繊維売上高が7社中最も多いクラボウは、不採算分野からの撤退もあり13・6%という大幅な減収を余儀なくされたが、利益は逆に30・5%の大幅増となった。どの分野が突出してということではなく、全体的に増益に貢献したという。国内外共に工場の操業度が堅調だったことも増益につながった。これにより営業利益率は、0・5ポイント改善し、1・4%となった。

 シキボウは、原糸販売、テキスタイル、製品の全分野が減収となったが、利益は24・9%増加し、7年ぶりの高水準となった。自家工場の構造改革による操業率の改善や、ニット素材販売の「選択と集中」(同社)などが奏功した。

 日清紡ホールディングスと富士紡ホールディングスの繊維事業は減益となった。

 日清紡HDは、東京シャツの夏物、輸出向けシャツ地、ワーキングユニフォーム用生地、インドネシア子会社の米国向けシャツ地の販売不振などで7・1%の減収を余儀なくされたが、減益は0・1%にとどめた。

 富士紡HDでは、フジボウテキスタイル、フジボウアパレルともに、減収ながらも増益を確保した。しかし、百貨店向け高級肌着を扱うアングルの不良在庫を一掃するなどの体質改善措置を進めたため、36・0%の大幅減益となった。

 オーミケンシの繊維事業の赤字幅は、前期よりも拡大した。赤字が続いていたブラジルの子会社の事業を昨年11月末に停止するなどの構造改革を行った結果だ。日東紡は、芯地が苦戦したものの、原糸や「日東紡のふきん」などの販売が好調だったことや、インターネット販売開始など販路拡大を図った。結果、赤字幅が縮小した。