東レ/通気性と防水性両立/「エントラント」高通気タイプ開発
2017年05月16日 (火曜日)
東レはこのほど防水透湿素材「エントラント」に高通気性とソフトストレッチ性を付与した「エントラント」高通気タイプを開発した。これまで難しいとされていた高レベルでの通気性と防水性の両立を実現した。6月に販売を開始し、2017年度5万メートル、20年度には50万メートルの販売を目指す。
エントラントは疎水性ポリウレタン樹脂を微多孔構造の防水透湿層として生地裏面にコーティングやラミネートすることで防水性と透湿性を併せ持つ。一方、通気性を付与するためには防水透湿層の微多孔構造の空隙孔径を拡大する必要があり、通気性を高めると防水性が低下するため、従来は通気性と防水性を高レベルで両立するのは難しいとされていた。
これに対して東レは蓄積してきた製膜・加工技術によって降雨に対する防水性を損なわない範囲で防水透湿層の空隙を最大限に広げることに成功した。これにより従来品の50倍の通気性を実現している。防水性も耐水圧2000~3000ミリH2Oを確保する。これは防水素材のボトムで濡れたベンチに座っても水がボトム内に侵入しないレベルの防水性という。
独自のポリウレタン樹脂を使用することでソフトなストレッチ性も実現した。特殊ラミネート技術によってさまざまな形状の生地やコーティングが難しい薄地に風合いを損なわずに加工できる。
こうした特徴を生かし、スキーやアウトドアといった本格スポーツ用途のほか、トレイルランニングやバイクなど新たなスポーツ向けアイテムへも提案する。さらにスポーティーカジュアルなどタウンユースへも展開する考え。
エントラント高通気タイプは25日から東西で開催する「2018秋冬東レスポーツメッセージ展」で披露する。大阪は25日から26日まで東レ大阪本社(大阪市北区)、東京は31日から6月2日まで東レ東京本社(東京都中央区)で開催する。
〈「エントラント」ブランド再構築〉
東レは防水透湿素材「エントラント」のブランドを再構築する。エントラントは2019年に発売40周年を迎えるが、これに合わせて防水性と透湿性を高レベルで両立した快適機能テキスタイルとその縫製品のグローバルプレステージブランドとしての位置付けを明確にする。
このためサブブランドも廃止し、「エントラント」ブランドとしてグローバルな浸透を図る。今回開発したエントラント高通気タイプを皮切りにエントラントをテキスタイルだけでなく縫製品としても展開し、本格アウトドアからライフスタイル市場までグローバルな拡大を目指す。