連載「伊藤忠のEビジネス」(中)/いい在庫ドットコム

2001年08月22日 (水曜日)

 「売れ残った商品を捨てることはない。新しいマーケットで売れる」。そんなコンセプトを持つのが、現物商品中心のBtoBサイト「いい在庫ドットコム」(http://www.e-zaiko.com/)だ。取扱商品は建材30%、日用雑貨25%、アパレル製品20%、自動車部品などその他25%で、「あらゆる商品を扱うことが強み」(白石裕介社長)という。

 売り手は、需要予測を誤って売れ残った商品などをサイトに出品し、マッチングとオークションの2方式で買い手が現れるのを待つ。一方、買い手は例えば、「単価800円の商品を5000個欲しい」とリクエストをサイトに登録、売り手がそれに対する交渉をしながら入札を図る。従来の在庫処分でも流通の置き換えでもなく、「普通に売れる商品と在庫の間にある新しいマーケットを見据えたもの」(白石社長)。廃棄されそうな商品を売れる商品に変えるエコロジー的意義も持つ。

 昨年6月に新会社として発足し9月にサイトを立ち上げた。現在、会員数は2000社を超える。幅広い商材を扱う水平型サイトとしてあらゆる業種・業態の売り手と買い手をつなぎ、商品流通性を高めた。売り手、買い手とも匿名で取引でき入会金、会費などは無料。成約して初めて仲介役となったサイトが利益(紹介料として取引額の5%)を得る仕組みとなっている。決済は出資企業であるオリックスが担当して与信不安を解消、物流は伊藤忠が運営する物流サイト「ロジゲート」(http://www.logigate.com)と連携して低コストを可能とした。

 現在、月商は5000万円以下だが、将来の目標は数億円。専門家を招いて各商品分野を強化する一方、分野の拡大も並行して進める。BtoCへの展開も模索中だ。