17秋冬ボディ&レッグファッション特集(4)/進化する機能性 素材編
2017年06月21日 (水曜日)
〈さらなる特化素材開発/「うるおいコット」打ち出す/東洋紡STC〉
東洋紡STCはインナー素材で天然繊維と合繊の長短複合素材など強みを生かした特化素材を打ち出すことで業容の拡大を目指す。
東洋紡STCがインナー向け通年素材として改めて打ち出すのが高い水分率を実現した綿素材「うるおいコット」。原綿改質技術によって通常の綿の2倍の水分率を実現した。綿の風合いのままにレーヨン並みの水分率となることから、“しっとり・しなやか”な着心地を表現できる。秋冬向けとして“究極ソフト”に焦点を当てた超極細繊度のマイクロファイバーアクリル使いの素材開発も進む。7月5~7日に東洋紡本社ビル(大阪市北区)、7月12~14日にはボーケン東京本部ビル(東京都江東区)で総合素材展を開催し、インナー素材も多彩に紹介する。
同社はこれまでも得意の長短複合素材や機能素材で大手NB向けを中心に成果を上げてきた。ここに来て消費者の一部で本物志向が強まっていることもあり、特化素材の提案が成功している。
大手NBだけでなくGMSやSPA向けのインナー素材販売にも力を入れる。そのため富山事業所の自家設備に加えて技術指導する海外協力工場でも糸・生地を生産する体制整備を進めた。こうした取り組みの成果が現れ始めた。
このため今期もさらなる特化素材の開発と提案に力を入れ、海外インフラの活用で販売先の拡大も目指す。ノンワイヤーブラなど肌着以外のアイテムやアウター的な用途など新しいトレンドに対応した用途開拓にも取り組む。スマートセンシングを可能にするフィルム状導電素材「COCOMI」の実用化にも積極的に取り組む。
〈新たな付加価値追求/メディカル用技術も応用/東レ・オペロンテックス〉
東レ・オペロンテックスはスパンデックス「ライクラ」に新たな機能や物性を付与することでインナー・レッグ・アウターなど衣料用途での販売拡大に取り組む。
現在、ライクラは衣料と衛材が二大用途。量的拡大を進める衛材と異なり、衣料用途は新たな機能や品質の新原糸開発などで付加価値を追求することが重要になる。その一例として昨年はベージュ原着糸「ライクラT―906Hファイバー」を開発した。肌になじむ自然な色合いが評価され、パンスト用などで販売が増えている。
インナー用はNBに加えて量販店やSPA向けも拡大した。量販店やSPAが扱うインナーはシンプルなデザインが多く、カットオフで使用する場合も多く、そうした仕様に対応した糸などニーズに応じた品種の提案に力を入れる。
着圧ストッキングなどメディカル用品向けで蓄積したノウハウを生かした用途にも注目。既に国立病院の医師と膝サポーターを共同開発し、大学とはリンパの流れを良くするソックスを共同開発した。こうした商品の開発では国内のニッターなど産地企業との連携も重要になるとの認識である。東レグループのライフイノベーション事業としてもスパンデックスの開発と供給を通じて役割を果たしていく考えを示す。
〈キュプラの特徴生かす/レッグへの提案も加速/旭化成〉
旭化成の繊維事業本部は、キュプラ繊維「ベンベルグ」が持っている機能を最大限に生かした企画をインナー市場に打ち出している。例えば、100%使い(プレミアムストレッチファイバー「ロイカ」混含む)などがそれに当たる。さらにストッキング分野(シアータイツ)への参入も図っている。
これまで、ファインデニールでのベンベルグ100%使いは強度などに問題があったが、設備を含めた編み技術の進化によって展開ができるようになった。44デシテックスを使った46ゲージのベア天竺では美しい光沢と滑らかな質感を表現するほか、0・8デシテックスの短繊維を紡績した80番糸を使った24ゲージのベアフライスの打ち出しについても可能だ。
そのほか、ベンベルグのインナー向け素材では、特殊セラミックスを練り込んだフルダルタイプの「ベンベルグDF」とフルダルナイロンを複合した「キュアベール ナイロンタイプ」、ベンベルグとポリトリメチレン・テレフタレート(PTT)繊維を複合してソフトなタッチを付与した「ペアクール ソフトタイプ」、「ベンベルグMC」と高級綿との混紡糸「キャスコットMC」などを展開していく。
ストッキング分野については、パンツ部での採用が進んでいるが、新たにレッグ部にも提案する。「パンツ部だけでなく、レッグ部も蒸れることが多く、吸放湿性を持つベンベルグを用いることで快適性を付与できる」(繊維事業本部)としている。
現在、ベンベルグを使用したフィラメント・ツイステッド・ヤーン(FTY)のほか、エアカバードヤーン(ACY)、ダブルカバリングヤーン(DCY)などの商品化を進めている。従来のストッキング用糸の染色工場では、ベンベルグの染色ができなかったが、関係会社でベージュやアイボリーの試験染めが可能となった。
〈多彩な糸 備蓄/「健康と美容」テーマに/オーミケンシ〉
オーミケンシはインナー・レッグウエア用途に多彩な商材を展開する。供給先によって糸、生地、製品と柔軟に対応する。特に強みとするのが機能レーヨン糸の種類の多様さと備蓄能力。糸売りでは商社を通じてインナーメーカーに供給する。
得意の機能レーヨン糸には調温素材「キュウ・ナナ・ロク」、涼感素材「リフレール」、遮熱素材「サーモベール」、発熱・蓄熱素材「ソーラタッチ」、保温・消臭素材「紀州備長炭繊維」、消臭・抗菌防臭素材「クラビオン」、スクワラン配合素材「パポリス」、白金ナノコロイド配合繊維「プラチナレーヨン」、防透・UVカット素材「レイスター」などがある。これら9種の機能レーヨンについては綿70%混の生成糸を20番手、30番手、40番手、60番手の4種類で備蓄する。先染め糸も豊富だ。靴下向けで定番素材となっているアクリル30%・綿70%混糸の色見本帳には486色を収録し、色数は日本最多水準を誇る。さらにその中から売れ筋の105色を集約した見本帳も用意する。
今年度、インナー・レッグ分野では「健康と美容」をテーマに拡販に取り組む。特に保湿効果で知られるスクワランを配合するパポリスや抗酸化機能で知られる白金ナノコロイドを含むプラチナレーヨンを重点的に拡販する。衛生関連の需要も売れ行きは底堅く、抗菌防臭のクラビオンや消臭の紀州備長炭繊維の提案にも力を入れる。
〈リバーレースで華やかに/世界シェアの7割占める/栄レース〉
レディースインナーを優雅に、華やかに演出するリバーレース。ラッセルレースに比べ、繊細で奥行きのある柄で高級品に使われることが多い。栄レース(兵庫県宝塚市)はリバーレース生産において世界シェアの約7割を占める世界最大手。
現在、同社の売上高全体の9割がインナー用途で残りがアウター向けだ。中国とタイに主力の生産拠点を持つ。とりわけタイは今年初旬に新たな工場を設け、増産にむけ技術者の養成に取り組む。
近年は、新規需要開拓のために、意匠撚糸使いや素材バリエーションを広げ、アウター向けのレースの開発を強化している。インナー向けレースは安価で量産に適したラッセルレースとのシェア争いが激化していることもアウター強化に拍車をかける。強みとするのは、リバーレースでしか作り出せない素材感と自社デザイナーによる年間500柄を超える新柄を生み出す企画力。
2017年度の商況は全般的に前期比増のスタートとなったもよう。主力の国内向け(海外日系企業への販売を含む)は増収で推移する。大手インナーメーカー向けで販売量を増やした。
欧州ではシェア拡大が進む。中国でも主力インナーメーカーを中心に順調に販売が進み、前年実績を上回る。米国は大手との取り組みが減少し、やや停滞気味。
澤村徹弥社長は今期の方針として「引き続きアウター向けの強化」を掲げ「リバーレースを使ったテープ状の装飾用副資材など新たな商材の開発を続ける」と話す。
〈17年2月期は増収増益/素材バリエーション広がる/ヴィオレッタ〉
インナー素材製造大手のヴィオレッタ(大阪市城東区)は、ストレッチラッセル編み地を主力とする。需要は女性の肌着用途が多く、売上高の9割を占める。
生地特有のキックバック力で女性のボディラインを美しく補整するファンデーションインナーやガードルの素材として使われる。同社はその品質の高さから、高級品での採用実績が多い。
2017年2月期決算はわずかながら増収増益となった。主力のインナー向け素材で既存顧客のメーカーへの販売が増加したことに加え、中国のインナーアパレルへの素材輸出も好調だった。
近年は、新規顧客の開拓を目的にアウター向けの販路開拓に力を入れている。背景には若年女性を中心に補整下着の着用者が減少していることがある。
そのため18年2月期に向けて、親会社のヤギグループとの連携を強め、改めてアウター向けの販路を模索するほか、アウター用途の新素材の開発や輸出も強化する方針。
アウターへの供給量はまだ少ないが、新たな試みによって素材バリエーションが年々増えており、着実に実績を重ねている。具体的には合繊使いだけでなく高綿混率のものや、これまでになかったジャカード柄の生地も可能になった。直近では、アウター向けを再度インナー向けに改良し、収益力の高い素材も生まれている。




