特集 商社OEM2017(6)/商社OEMを支える検査機関/試験から技術指導、表示まで

2017年06月27日 (火曜日)

 日本の衣料生産を支える商社OEM。その商社のOEM供給をサポートするのは検査機関。海外での生地の試験、製品の検査、検品会社の技術指導から、ケアラベルや組成表示まで幅広く支援する。

〈カケン/海外拠点で幅広く対応/内販や外―外貿易にも〉

 カケンテストセンター(カケン)は商社のOEM供給を支援する。中国では上海科懇検験服務のほか、南通、青島、大連、寧波、無錫に拠点を設ける。香港検査所、カケンインドネシアのほか、韓国のKOTITI試験研究院と提携して韓国、バングラデシュでも対応。ビューロベリタス(BVCPS)とは台湾とベトナム、OMIC(OMICCOPIT)とはタイで提携する。

 上海科懇は抗菌性試験を開始、SEKマーク繊維製品の抗菌性試験の指定試験機関にもなった。特定芳香族アミンの試験も試験機を増設し、量的に対応できる体制にある。無錫試験室でも特定芳香族アミンの試験機導入を計画する。「商社は日本向けだけでなく、中国内販にも注力する」ためで、GB対応の試験設備の導入だけでなく、上海、無錫、寧波では内販向け試験資格も取得している。

 検品の桑原とはベトナムで合同研修セミナーを開いた。生地の段階での色の修整や製品修整などについてで、海外生産では欠かせない内容。ブンカケン(日本文化用品安全試験所)と提携し、化粧品分析にも着手する。売り場のライフスタイル化に対応した試験となる。

 グローバルコミュニケーション(GC)室は海外で衣料品を販売したい顧客に向けて、法規制情報、海外表示指示情報などを提供する。約50カ国の情報を集めるほか、現地の市場慣習など生きた情報も収集。商社の外―外貿易の拡大を支援する。定期的に海外内販・法規制セミナーも開いている。中国については、Qコード(企業標準)登録の支援サービスを実施するほか、韓国内販の手引きも作り、きめ細かい顧客サービスを行う。

〈QTEC/雑貨を含め海外生産支援/羽毛関係でも世界的評価〉

 日本繊維製品品質技術センター(QTEC)は商社の海外でのOEM供給に協力する。衣料品だけでなく、雑貨の試験も充実させる。縫製工場や検品工場指導を切り口にしたサポートも行うほか、得意とするダウン製品など性能試験でも高い評価を得ている。

 QTECは中国で上海総合試験センターが一般試験のほか、抗菌性試験なども行う。青島、無錫、深セン試験センターも設け、南通では南通浩達紡織品検測と提携して試験を実施する。

 韓国に拠点を設けるほか、チャイナ・プラス・ワンではダッカ試験センターとベトナム試験センターを有する。「上海、ベトナム、深センでは雑貨の試験も充実」させ、ブランドのライフスタイル化にも応じている。注目のベトナムでは現地の国際検査機関インターテックと提携。生活用品の試験では日本にない手法でも試験する。

 日系検査機関として最も早くバングラデシュのダッカに拠点を設けた。さらに最近ではインドの現状視察を行ったほか、パキスタンではJICA(国際協力機構)の要請で縫製から輸出販売まで、現地の職業訓練校の先生の指導も実施、新たな地域の情報発信にも着手していく。

 生産コストの削減には、工場の品質管理体制の向上が欠かせない。QTECは縫製工場や検品工場を評価し、技能を指導する人材も多く、技術指導業務も進めている。羽毛のトレーサビリティーである「ダウンパス」の日本の唯一の検査機関でもある。イタリアのラグジュアリーブランドから羽毛試験の依頼があるなど世界的に認知されている。

〈ニッセンケン/コンサルグループ設置/現場の多様な相談に応じる〉

 ニッセンケン品質評価センター(ニッセンケン)はこのほど組織改編し、「コンサルティンググループ」の下に既存の「品質コンサルティングチーム(QCSチーム)」と新たな「マーケティングチーム」を置く体制となった。試験の相談だけでなく、企画生産現場からの「法律の解釈が難しい」「表示の仕方が分からない」といった声に個別対応する。

 コンサルティンググループは、田村亜由美グループ長の下に、QCSチームが6人、マーケティングチームが2人と、9人体制でスタートした。田村グループ長は「2013年に設置されたQCSチームは表示事項や品質管理、クレームの原因究明などの個別相談を受けてきた。今回の改編で、マーケティングチームがそうした実務を紹介しながら、より総合的な提案・アドバイスを実施していく」と語る。

 ニッセンケンは「家庭用品有害物質規制法アゾ染料規制への対応」セミナーのほか、新ケアラベル対応、子供服の安全性、家庭用品品質表示法改正内容のポイントセミナーなどを開催してきた。「安心で安全な子供服作り」をテーマにした「ベビー&キッズEXPO」、妊娠・出産後の家族を対象にした「マタニティーカーニバル」などにも出展し、繊維製品の安全証明「エコテックス」を紹介する。

 こうした活動を通して、個別の相談に応じるほか、海外生産では不良率を下げるための工場監査といった支援も行う。

 店舗検査では、販売している商品のキャッチコピーなど表示のチェックも実施。「消費者の目は厳しくなっており、顧客からのさまざまな相談を受けている」