特集 カーテン(3)/メーカー/素材から縫製までサポート
2017年06月29日 (木曜日)
〈今期は売り上げ微増/維研〉
カーテン地製造販売の維研(愛知県江南市)は、2017年6月期の売上高が前期微増の7億9千万円を見込む。先染め遮光カーテンの需要増加や既存顧客との取引拡大などが寄与した。来期は8億円超えを目標とする。
同社は協力工場で廃業の可能性が高まっていることへの対応策として、08年に廃業した紋紙企業の紋紙作りのハードやソフトを取得、09年に経営破たんした企業の織布工場、14年に撚糸企業の岐阜工場をそれぞれ買収し、自社の生産能力を強化してきた。
最近では14年に買収した岐阜工場の生産性が上がってきており、採算ラインに乗りつつある。同工場では電子ジャカード織機12台を保有しており、現在は24時間フル稼働の状態という。
現有設備はジャカード織機63台、ドビー織機4台。このうち、3m幅対応機を昨年に自社と外注先へ1台ずつ導入し計10台とした。
今後は生産効率の向上を図るため、設備の更新を視野に入れるとともに、フラットな生地に加え、凹凸感を表現した生地も開発していくという。
〈デザイン力と素材力生かす/サンコロナ小田〉
サンコロナ小田(本社=大阪市中央区、本店=石川県小松市)は、売上高の約7割がカーテンを核にしたインテリアが占め、カーテン製造卸や家具・インテリア小売り大手など幅広く手掛ける。
2013年にグループの経営体質強化のため、商事会社のサンコロナがメーカーである小田ゴウセンを吸収合併。糸加工から織布、縫製までの一貫生産を強みとする。国内のほか中国無錫に糸加工工場、上海・無錫・ベトナムにカーテン縫製工場などグローバル生産拠点を持つ。国内では協力工場である撚糸50社、機業50社の技術力も生かして付加価値の高い商材を提案する。
さらに10人規模の社内デザイナーがおり、市場のウオンツをとらえた企画力に定評がある。そのデザイン力と素材力を生かしたモノ作りで差別化へつなげている。
一般衣料用途への浸透も図っており、インテリア分野で培ってきた技術やノウハウを衣料へ生かすとともに、インテリアへ衣料素材を活用する相乗効果が生まれている。
2017年6月期のカーテン事業の売上高は前期比横ばいを見込む。
〈原着糸で差別化/岸繊維産業〉
カーテンレースを製造する岸繊維産業(大阪府岸和田市)は、さまざまなタイプの糸を使用したモノ作りにこだわる。
その一つとして、原着糸使いに力を入れており、採用されるケースが増加している。整経に手間がかかるが、多様なカラーを使用でき、機能性プラスデザインで差別化へつなげている。
加えて採光拡散性や遮熱性を持つ機能糸や、制菌加工をはじめ、綿ライクのポリエステル使いなどが増える傾向にある。
難燃成分を繊維に練り込んだ“素材難燃”タイプの難燃糸の使用比率も高まっているという。
同社は、カーテン製造卸などへのOEM供給が100%を占める。2017年8月期の売上高は前期より下回って推移している。
同社は1918年に創業。59年にラッセル機を初めて購入し、カーテンレースの製造を始めた。その歴史のなかで作り出してきた2千点ほどの生地ストックがある。その豊富な生地をベースに、新たなモノ作りへと生かしている。生産拠点は本社の第一工場、第二工場、石川工場を持つ。
〈18年3月期5%増収へ/帝人フロンティア〉
帝人フロンティアのカーテン向けポリエステル長繊維糸販売は2018年3月期、前期比5%程度増収を計画する。本年度下半期に新商材を投入する計画で、「消費者ニーズを踏まえた原糸開発」(門脇秀樹原料部長)を進める。
生地の販売強化にも取り組む。生地は国内外で生産し、国内は薄地、海外はドレープを中心に対応する。海外では今年1月から中国の上海現地法人に原料部を設け、生地供給のハンドリングを行っている。オーダーカーテン用途も視野に入れる。
17年3月期は10%強の増収だった。ニトリや医療・福祉施設用カーテンリース業のキングラン向けが引き続きけん引した。ブランドメーカー向けは横ばいだった。さらに機能糸に加えて、定番糸の販売が拡大した。
同社のカーテン向け販売は5期連続で増収が続いている。整経を行いビームの状態で供給するビームサプライ事業が強みになっているほか、国内機業と連携した取り組みや、消費者ニーズを踏まえた商品開発が奏功している。
〈ソレイユ/出張採寸取り付け強化/効率向上へ基幹システム開発〉
カーテンのオンラインショップ「びっくりカーテン」などを展開するソレイユ(大阪府高槻市)が、出張採寸取り付けサービスを強化している。同業務の効率を高める基幹システムの開発を進めている。
同社は2015年末から外部業者と連携し、採寸取り付けを行う。外部業者が購入希望者宅を訪問して採寸し、ソレイユがオーダーカーテンを中心とした商品を提案・手配。業者が取り付ける。サービス対応エリアは関東、関西、九州地域を中心に、宮城県や愛知県も含む。
通常のネット販売と比べて1件当たりの販売額は上がるものの、購入者からの変更や要望が多く、50回以上やり取りする場合もあり、効率は下がるという。そのため、受注から納品までを担う基幹システムの再開発を進めており、採寸取り付けや手配を効率的に管理し、受注拡大へつなげる。
17年2月期は12億7千万円(前期は11億9千万円)で着地した。
今期はここまで順調に売り上げを伸ばしている。カーテンはフラミンゴやサボテン、モンステラ、パイナップルをモチーフにした柄が人気。ネコ柄も人気で、ボタニカルとネコを併せた柄も売れているという。フラミンゴ柄はスペインから輸入した。素材では天然素材が人気で、特にリネンの販売が伸びる。木製パイナップルと綿ひもを採用したタッセルも売れている。