帝人フロンティア「エルク」/中国のインナー用途がけん引/販売量2千トン目指す
2017年07月06日 (木曜日)
帝人フロンティアの高性能ポリエステルクッション材「エルク」の2016年度販売量は前年比30%以上増加し、年間千トンを超えた。中期的には2千トンへの拡大を狙い、供給体制を整える。
エルクは2種の繊維が立体的に絡み合ったタングル・スプリング構造を持ち、クッション性や通気性などの特性を引き出しやすい縦型不織布での展開に力を入れている。16年度は中国のインナー用がけん引し、300トン強の拡大分のうち半分以上をここで伸ばした。リビング・インテリア関連も堅調だった。
インナーはブラカップ用が柱で、中国のインナーアパレルがウレタンに代わる素材を探す中、百貨店系や通販系での採用が進んだ。高い通気性、クッション性などの機能性に加え、黄変しないことから淡色アイテムにも使いやすいことも好評を得ているという。
不織布メーカーの縦型不織布設備導入が進んでいることも背景の一つで、日本だけでなく海外でも取り組み先との関係を深めている。中国では縦型不織布設備を持つ2社との取り組みが順調に進み、米国も2社と取り組んでベッド回りなどに展開する。欧州は従来からのイタリア企業に加え、英国でも縦型不織布メーカーとの取り組みを始めた。今後はタイでも縦型不織布メーカーとの取り組みを開始し、東南アジアやインド市場も見据えて供給体制を整える考えだ。
ポリエステル繊維の構造改革に伴い、エルクも今年度中にタイへの生産移管を完了する。機械の据え付けを既に終え、秋口から顧客評価が始まる見通し。
中期的には2千トンへの拡大を目指し、生産能力増強も検討する。中国のインナーは高級ゾーンが中心だが、今後は中級ゾーンも狙う。ベッド関連はトッパー以外にも採用箇所を広げていき、座布団・クッションなど小物関連への展開も狙う。
素材バリエーションも拡充する。細繊度で保温効果を高めたタイプを衣料用中わたなどで伸ばすほか、極太にして通気性を高めたタイプの展開も視野に入れる。
エルクの技術を生かしたファミリー商品も拡充する。その一つが四大悪臭に効果がある消臭素材「フレッシュコールZ」で、寝装用などで展開が始まっている。