「ITMA2019」/原料・糸・生地部門設ける/CEMATEXの自主運営に

2017年08月01日 (火曜日)

 2019年6月にスペイン・バルセロナで開催される国際繊維機械見本市「ITMA2019」で、繊維原料・糸・生地を対象とした展示部門が新設される。展示会運営も主催者である欧州繊維機械製造者協会(CEMATEX)が全額出資するITMAサービスが担うことで事実上の自主運営となる。従来以上に繊維産業の先端的ニーズに応える国際展示会としての色彩を強めることになりそうだ。

 新設される繊維原料・糸・生地部門は、天然繊維から工業用繊維、リサイクル繊維、高機能繊維など幅広い分野で展示を行い、アパレルと糸・生地メーカーをつなぐプラットフォームの役割を担う。

 ITMAサービスのマネジング・ディレクター、シルビア・フア氏とシニア・エキシビション・マネジャー、アンドリュー・リン氏がこのほど、出展・来場者に向けた事前プロモーションで来日。フア氏は「ITMAは繊維機械だけの展示会だと思われがちだが、90年代から中身を進化させてきた。前回展のITMA2015でもファイバーやテキスタイルのメーカーが多数出展している」と強調する。

 出展対象範囲を拡大することでITMAを原料からアパレル製品まで繊維製品の生産プロセス全体をつなぐプラットフォームとしての役割を担うことを目指している。このためフア氏も今回の来日で日本の素材メーカーなどに出展を呼び掛けた。

 今回から運営をITMAサービスが担当するのも特徴となる。CEMATEXは従来、展示会運営会社にITMAの運営を外部委託していたが、16年に全額出資でITMA運営会社としてITMAサービスを設立した。フア氏は「技術革新のスピードは速い。タイムリーな展示会企画のために自主運営に切り替えた。出展者へのフィードバックも早くなる。ITMAはコマーシャルベースの展示会ではなく“繊維産業による、繊維産業のための展示会”となる」と話す。

 このほか、ITMA2019ではデジタルプリントやIoT関連の展示や企画にも力を入れる方針で、自動化やデジタル化をテーマにしたセミナーなども充実させる。繊維関係の研究・教育機関の参加も優遇することで、より先端的な内容の国際展示会とすることを目指している。