特集 東海綿織物産地(5)/東海産地を支える商社

2017年08月08日 (火曜日)

〈豊島 浜松支店/新たな用途を開く〉

 豊島の浜松支店は、プリント生地を受注生産するとともに、生機200品番、無地染め織物「HTシリーズ」25品番(平均各20色)を備蓄販売する。

 現在の用途は切り売り用やサービスユニフォーム、一般衣料、生活資材向けがメイン。

 今後は同社の縫製品関連部署と連携し、生地の新用途開拓に取り組むという。

 具体的にはリネンサプライ関係に力を入れる。同社によると、現在は中国製の生地が多く流通しているため、機能加工などを取り入れ、差別化した生地を展開するという。

 海外への販路拡大にも努める。まずは中国をターゲットに、遠州の加工技術を駆使した生地を販売する。中国を足掛かりに、海外の売り先を広げる。

 同支店は1918年に開設し、同社にとっては最初の支店となる。遠州産地で長年、培ったモノ作りのノウハウを生かし、「いろいろなことにトライする一年にする」(菱川純治支店長)と言う。

〈信友 浜松支店/複数の原料や糸加工提案〉

 信友の浜松支店は、顧客の要望に合った糸の提案に注力する。一つの原料や糸だけでなく、複数のものを組み合わせて提案するほか、糸の付帯加工にも対応する。

 同支店は遠州と北陸産地への営業を担当しており、糸売りに特化している。備蓄する糸は純綿のカード糸、コーマ糸を中心にポリエステル綿混糸、ポリエステル・レーヨン混糸、レーヨン紡績糸など多彩な品目を扱う。

 綿糸以外の販売にも力を入れ、既存の顧客がさまざまな原料の糸を調達できるようにする。糸の付帯加工は名岐地区の企業を活用し、原糸のままではなく、撚糸などの販売も行う。

 井川康彦支店長は糸や糸加工などの領域をさらに広げていく。そのためには、「最終製品を明確にイメージすることや、原料から製品までの総合的な知識が必要になる」と話し、アンテナを高くして、スピード感を持って対応するという。

 遠州産地の商況は厳しいが、同支店は今後も産地との連携を深める。