綿紡の4~6月繊維事業/利益の改善目立つ/7社中6社が減収も

2017年08月10日 (木曜日)

 綿紡績大手7社の4~6月連結決算の繊維セグメントは、富士紡ホールディングス(HD)を除く6社で前年同期比減収となった。しかし、営業利益は、ダイワボウHDとシキボウを除く5社で増加、あるいは赤字が縮小した。

 7社中唯一増収増益となった富士紡HDの繊維事業は、インターネットなど新規チャネルや「BVD」ブランドのレディース商品の販売が拡大し、OEM製品・共同開発商品が堅調に推移した。百貨店向け商品を中心にした前期の在庫内容改善措置が、季節商品返品のための物流費用低減など総合的なコストダウンにつながり、採算が大幅に改善。5・7%の増収で営業利益は16・6倍になった。

 減収増益となったのは、クラボウと日清紡HDの2社。

 クラボウは、5・4%の減収、22・6%の増益だった。ユニフォーム分野は堅調に推移。カジュアル分野は、製品事業の不採算取引の見直しなどで国内が減収となったが、利益は改善した。原糸分野は、主力販売先の在庫調整の影響で減収。海外子会社は、東南アジアが順調で、ブラジルの業績も回復したため増収となった。

 日清紡HDの国内は、シャツ地やユニフォーム用生地販売が堅調で、エラストマーやスパンデックス糸の販売も増えた。しかし、シャツ地の輸出やデニムの販売が低調だったことに加え、東京シャツの夏物販売が振るわず、減収減益となった。海外でも主力のインドネシア子会社が日本向け糸輸出の減少で減収減益。ブラジル子会社は増収増益となった。繊維セグメント全体では、2・1%の減収ながらも、10・5%の増益を果たした。

 ダイワボウHDとシキボウの繊維セグメントは、減収減益だった。

 ダイワボウHDは、合繊部門で衛生材用途の原綿販売が振るわず、レーヨン部門では機能性原綿の販売が減少。樹脂加工部門ではコンテナ関連商品が苦戦し、衣料製品部門でもブランド製品の量販店への販売が振るわなかった。機能製品部門のフィルター商品群の販売は堅調で、衣料製品部門のカジュアル製品やインナー製品の販売は底堅かったが、繊維セグメント全体では5・3%の減収、22・8%の減益。

 シキボウは原糸販売分野が、国内市場向けに回復の兆しが見られず、ベトナムを起点とした海外市場向けも伸びを欠き、減収減益となった。テキスタイル分野では、中東民族衣装用生地輸出が減速。生活資材市場向けでは、寝装用定番品や量販店向け既存顧客への販売が苦戦した。製品分野では組織統合で販売効率を高め利益の拡大を図ったが減収となった。ユニフォーム市場向けは増収増益。繊維セグメント全体では、7・1%の減収、67・7%の減益となった。

 オーミケンシと日東紡の繊維は減収ながらも赤字幅を圧縮した。

 オーミケンシが13・3%の減収となったのは、前年度にブラジルの子会社の事業を停止したため。スフ綿部門は増収増益だった。このため、前年同期に2億6200万円だった営業損失が500万に圧縮された。

 日東紡は、主力の芯地販売が日本、中国国内向け、中国からの輸出のいずれもが低迷。原糸や「日東紡のふきん」などの二次製品販売も低迷し、5・8%の減収となった。営業損失は700万円減の1億2300万円。

〈大幅経常増益が目立つ/全社ベース決算〉

 綿紡績大手7社の4~6月連結決算では、経常利益を増やした企業が目立った。ダイワボウホールディングス(HD)が69・8%、日東紡が41・7%、日清紡HDが34・6%、シキボウが11・4%のそれぞれ前年同期比大幅増になり、クラボウも5・6%の増益。

 ダイワボウHDの大幅増は、ITインフラ流通事業の営業利益が5・2倍になったことがけん引した。日清紡は、エレクトロニクス事業の減益と紙製品事業譲渡の影響で営業損失が拡大したが、為替差損の減少で経常利益が増加した。

 売上高は、ダイワボウHDの10・9%増を筆頭に、クラボウ、日東紡の3社が増収だった。