高視認性特集(2)/ユーザーボイス/ネクスコ・パトロール関東/高速道路を24時間守る/安全・安心を支える高視認性

2017年08月09日 (水曜日)

 日本全国に張り巡らされた高速道路。人々の生活に欠かせない重要なインフラとなった高速道路は、ネスクコ・パトロール関東などのパトロール会社が、24時間、365日休むことなく守り続けている。高視認性安全服は、そんな交通管理のプロ集団の「安全・安心」を支えている。

 ネスクコ・パトロール関東は、関東以北、長野、新潟から北海道までの高速道路の管理運営・建設事業、サービスエリア事業などを行う東日本高速道路(NEXCO東日本)のグループ会社の一つで、交通管理のプロ集団として、走行車両やドライバーの安全・安心を守っている。

 同社の主な業務は、高速道路の安全・安心を守る最前線の交通管理、パトロール業務の司令塔である交通管制、違反車両の走行を防ぎ安全・安心を守る法令違反車両取締等の三つから成る。

 中でも交通管理業務は、24時間、365日高速道路のパトロールを行う。刻々と変化する道路や交通量、気象などの状況を把握し、落下物排除や事故、故障車へは緊急出動で対応し、安全・安心な交通流の確保に努める。

 時速100キロ以上で走行する車両が絶えず行き交う高速道路上でのさまざまな作業は、「判断を間違えれば、命に関わるだけに、怖いし、プレッシャーもある」(同社)。それだけに隊員たちが走行する車両のドライバーにしっかり視認されることは重要だ。

 隊員たちが着用するユニフォームは、2014年にリニューアルされた4代目。ブルーの上下は夏と冬で素材が変わる。リニューアル時にボトムの反射材のラインの入れ方などが見直され、より視認性が高まるようにデザインされた。ブーツのかかとやヘルメットにも反射材が活用されている。

 作業する隊員、走行する車両のドライバー、双方の視界が悪くなる、雨天時に着用する防寒撥水(はっすい)コートは、欧州のEN471クラス3規格に準拠し、蛍光イエローとブラックを組み合わせた配色に、目立つ形で反射材が施されている。

 同社では故障車などのドライバーの安全確保のために、現場で着用できる高視認性安全ベストも常に用意し、ドライバーに貸し出している。

 高速道路はお盆休みや夏休みのある8月の交通量が最も多い。それに伴いタイヤのバーストやパンクの発生も多くなり、緊急出動も増える。隊員たちのユニフォームに対する要望は、やはり「夏に少しでも涼しいユニフォームが欲しい」という声が多い。

 日夜、どんな天候でも高速道路の安全・安心を守る交通管理のパトロール隊。彼ら自身の安全・安心を守り、スムーズな業務遂行を確保するためにも、高視認性安全服には、より一層の進化が求められている。

《普及支える検査機関》

〈高視認性の全試験に対応/文化服装学院と取り組みも/ニッセンケン〉

 ニッセンケン品質評価センター(ニッセンケン)は、高視認性安全服の普及に欠かせないJIS T8127の試験に全て対応できる設備を整えている。東京都葛飾区の立石ラボは、蛍光測色やCADによる面積測定、直線15㍍以上の暗室で行うと規定されている再帰性反射測定など、数々の試験実績を持ち、デザインのアドバイスなどの相談にも応じている。

 これらの体制、機能、実績が評価され、ニッセンケンは、日本保安用品協会と日本防護服協議会が主導して策定を目指している一般利用者向け高視認性安全服の規格作りにもメンバーとして参画している。

 この夏には、文化服装学院からの呼び掛けで、交通事故から子供たちを守る児童・生徒用の高視認性安全服の制作に共同で取り組んでいる。同学院の学生が規格に準じた蛍光生地と再帰性反射生地を使い、高視認性とファッション性を併せ持つ洋服を企画、デザイン、製作する。ニッセンケンは第三者機関として、交通安全に関わる繊維製品規格のアドバイスや素材の手配、提供を行う。

〈市場は確実に拡大/防護機能付きの評価も/カケン〉

 カケンテストセンター(カケン)は、現状の高視認性市場について「徐々に高視認性安全服を着用する職業従事者を目にする機会が増えてきた。まだ普及したとは言い難いが、市場は確実に拡大する」とみる。欧州は高視認性安全服の先進国だが、「欧州でも一般に普及するには時間を要したと聞く。日本での普及速度が遅いのではなく、海外との差がまだ埋められていないだけ」と言う。

 2020年の東京五輪に向けた建設工事は大きな需要機会だ。「ISO20471、JIS T8127は、道路で作業し、移動体に対して注意が払えないような環境条件下で作業する職業従事者を対象にした防護服である。道路に限らず、建設現場や山岳作業などの作業現場で広範囲に使用されるようになる」と期待する。

 今後はISO20471、JIS T8127に基づいた試験を継続実施するほか、規格の要求事項を満たした材料を用いた自由なデザインの高視認性のユニフォーム開発のための試験、防護機能+高視認性を兼ね備えた防護服の性能評価に関する試験などを展開していく。