インドネシア東レグループ/ビジネスモデル転換推進/不織布分野の拡大めざす

2017年08月24日 (木曜日)

 【ジャカルタ=宇治光洋】インドネシア東レグループが商品の高付加価値化と商流改革の動きを加速させている。今期(2018年3月期)も、グループ各社とも素材から製品までのサプライチェーンの中で役割を担うコンバーティング機能を強化することでビジネスモデルの転換を進める。不織布分野の拡大も重点テーマとする。

 インドネシア東レグループの今上半期(17年4~9月)商況は、中東など主力輸出先の市況が思わしくなく、ポリエステル・レーヨン混紡織加工のインドネシア・シンセティック・テキスタイル・ミルズ(ISTEM)などが苦戦。インドネシア・トーレ・シンセティクス(ITS)の合繊糸・わた事業も紡績用ポリエステル短繊維は中東向け織物用途での消化が鈍化した影響を受けた。

 在インドネシア国東レ代表である福田康男トーレ・インダストリーズ・インドネシア(TIN)社長は「コンバーティング機能と不織布分野の強化・拡大がポイント」と強調する。

 東レグループが各地域で展開している糸・生地から縫製品までのサプライチェーンへの素材供給などコンバーティング機能の中で各社が担う役割を高める動きを強めた。「17年度は各社とも設備投資などを行い、体質改善とビジネスモデルの変革を進め、18、19年度にその成果を具体化させる」。

 その一つとしてポリエステル綿混紡織加工のセンチュリー・テキスタイル・インダストリー(CENTEX)は染色設備の増強で加工能力を18年度までに月300万ヤードに高め(現行は月200万ヤード)、マレーシア東レグループのペンファブリックからインドネシア縫製向け原反など一部生産の移管を進めている。

 これに合わせてポリエステル綿混紡織のイースタンテックスの生機を活用する。イースタンテックスでは現在、「イースタンテックス・フューチャープロジェクト30」をスタートさせ、定番品のさらなるコストダウンと19年度までに特品化率30%以上を目標に生産品種の高度化を進めている。これら特品生機をCENTEXで加工し、東レのサプライチェーンへの供給拡大などを目指す。

 ITSの長繊維事業もポリエステルでスクリーン紗向けモノフィラメントに力を入れるほか、ナイロンは設備改良で細繊度化を進めており、こちらも東レのサプライチェーンへの供給を拡大する。そのほか、ISTEMやアクリル紡績のアクリル・テキスタイル・ミルズ(ACTEM)も同様の戦略で新規取引先の開拓を進める。

 不織布用途の拡大にも取り組む。ITSが新規参入した不織布用複合原綿の出荷が本格的に始まった。ポリプロピレンスパンボンド製造のトーレ・ポリテック・ジャカルタも2系列目が順調に立ち上がり、フル稼働に近い状態にある。短繊維不織布、長繊維不織布両方の領域で取引先との連携を深めながら業容の拡大を目指す。