第一紡績/自社加工場がフル稼働/アウター素材販売好調で

2017年08月28日 (月曜日)

 第一紡績の丸編み地の販売が拡大している。熊本県荒尾市の同社荒尾事業所では5月から、染色加工部門が24時間フル稼働している。今年度(2018年3月期)中に高圧液流染色機を数台増設すると乾義和社長は語る。

 フル稼働になったのは、村田機械の「ボルテックス」機をはじめとする特殊精紡機で作った「戦略糸」使いの丸編み地が、アウター素材として好評を得ているため。同社はかつてインナー素材を得意としていたが、現在は生地売上高の70%をアウター素材が占めている。

 戦略糸として位置付けているのは、村田機械の「MJS」「IFS」とボルテックス、さらに「ボルテックス」を独自に改造した「IPX」などの特殊紡機で紡いだ糸。それぞれ、「ASA」「クリアーコット」「ドライ―X」「タフコット」として展開している。糸をこれらに絞ることで、生産性を高め、コスト競争力を確保している。ただ、これら戦略糸に他の繊維を絡めたりして糸の多様化は図っている。新しい糸を開発するために昨年、ダブルツイスターも1セット導入した。

 荒尾事業所は、紡績から編み立て、染色加工、縫製までの一貫工場。かつて同社は、同工場の人員を減らし、海外生産による量販店向け縫製品のOEM供給に力を入れていた。しかし、同事業所を基軸としたビジネスに軸足を置く方針を打ち出し、2015年に同事業所へ本社も移した。海外縫製による量販向け製品OEMからは撤退した。この方針が奏功しており、今年度上半期(4~9月)は、微増収増益を確保できそうだという。