東レハイブリッドコード/3年後、売上高倍増へ/国内・海外両輪で拡大
2017年08月29日 (火曜日)
東レ子会社でタイヤコードなどを製造販売する東レハイブリッドコード(愛知県西尾市)は、2017年度からのグループ中期経営課題「AP―G2019」に基づき、19年度(20年3月期)連結売上高で16年度に比べ約倍増の115億円を計画している。
国内事業に加え、17年10月に稼働するタイ子会社による海外事業との「両輪により成長戦略を推進する」(鈴木信博社長)。国内は16年度の52億円から67億円に拡大、今期から本格化する海外は48億円の売り上げを見込む。
国内の主力で現在売上高の約60%を占めるタイヤコード事業は今後、東レ・デュポンのパラ系アラミド繊維「ケブラー」使いを拡大する。高性能タイヤ用にケブラーとナイロンとの複合品が「拡大期に入った」とし、確実に需要を取り込む。ケブラー使いは現在、全体の13~14%を占める。
ケブラー使いは接着加工の生産性が落ちるため、その拡大に伴い国内での接着加工能力が不足する。不足分は、ポリエステルタイヤコードの海外委託生産で補い対応する。台湾企業に委託生産したタイヤコードを既に月百数十トン輸入販売するが、10月以降は200トンに引き上げて加工能力の不足分に対応する。
一方、国内売上高の9%を占めるカーペット糸の撚糸・熱セットも事業拡大期と捉える。同業他社の撤退でシェアが高まっており、撚糸機増設と高効率熱セット機を既に導入、生産能力を月110トンから180トンに増強し需要増に応える。
カーペット糸の加工はタイ子会社のトーレ・ハイブリッド・コード〈タイランド〉(THCT)でも行う。国内から熱セット機を移設し、10月から月60トン規模で生産を始める予定。
同社初の海外子会社となるTHCTは需要家のグローバル調達、生産拠点のBCP(事業継続計画)、為替変動への対応策でもあり、タイヤコード、産業用コードなどの生産・販売も行う。タイヤコードは既に展開する台湾やベトナム、インドなど海外企業への委託生産で、自動車用ホースコードはグループ企業のラッキーテックス〈タイランド〉が生産する体制。19年度には売上高14億3400万バーツ、販売数量で月775トンを計画する。
〈強い事業体質構築〉
東レハイブリッドコードはタイヤコード・産業用コードの撚り・織り・接着加工、さらにカーペット糸の撚糸・熱セット加工などを主力に自販と受託加工を行う。
原糸調達から開発、生産、在庫、デリバリーまで「ワンストップサービス機能を有する」ほか、東レが技術輸出を行ったアジアの原糸メーカーを中心とする輸入糸使いが70%を占めるなどの特徴がある。輸入糸比率が高いため為替変動の影響を受けやすいが、この数年はタイヤコード輸出の拡大やドル建て販売など「あらゆる手段を講じる」ことで、国内でも強い事業体質を構築する。
同業他社の撤退が決定していることから、ポリエステル・パラ系アラミド繊維のタイヤコード製造では国内唯一となる予定で、BCFナイロン糸などの熱セット加工も国内では同社のみ。