特集 AFF・東京2017 9月27~29日/東京・池袋のサンシャインシティで/中国・日本 双方にビジネスチャンス
2017年09月20日 (水曜日)
〈429社・503ブース〉
日本最大級の繊維・アパレルOEM/ODM展示会「AFF・東京2017」が27~29の3日間、東京都豊島区のサンシャインシティ文化会館で開かれる。主催はAFFと日中経済貿易センター、運営はAFF事務局。
2003年に「チャイナ・ファッション・フェア」としてスタートし、春は大阪、秋は東京で開催してきた同展も今回が31回目。今回の出展者数は前回9月の東京展実績420社・490ブースを上回る429社・503ブース。東京ビッグサイトで開催していたころは550ブースを集めたこともあったが、15年に会場を移してからは過去最高規模となる。
アパレル、服飾雑貨、各種素材、ホームテキスタイル、副資材など出展者の事業分野は多岐にわたっており、その80%がOEM対応可能な点も同展の特徴の一つ。今回は中国だけでなく日本、ベトナム、ミャンマー、バングラデシュ、カンボジア、インドなど海外に工場を持つ企業も過去最高の51社となる。
〈質・量両面から拡大・発展/内陸部も50社が出展〉
主催者である日中経済貿易センターによると、昨年9月のAFF・東京展の来場者数は4005人。今年4月のAFF・大阪展の来場者数は4780人だった。過去最高は13年の東京展で6800人。
往時と比べれば近年はやや減少傾向にあるが、それでも毎回5千人前後の来場があり、今回も同様の規模を見込む。
来場者誘致にも例年通り力を入れた。過去の来場者や業界名簿に基づきダイレクトメールを14万通送付したほか、新聞広告、電車の中づり広告、ホーム・通路の壁面広告、メールマガジンの配信、ウェブサイトによる情報発信などを積極的に行った。
近年過去最高規模で臨む同展だが、出展者審査も厳格化している。製品内容、技術レベル、素材開発力などを選考ポイントに、「日本市場とマッチングするか」を最大の要素としながら新規、リピート含めて審査した。日中経済貿易センターによると今回展では30社ほどが落選の憂き目にあったという。
今回展の429社を地区別に見ると、江蘇省が151社で最も多い。山東省122社、浙江省65社、遼寧省28社と続き、近年この順位に変動はない。上位三つの省は日本でそれぞれ展示会を開いており、出展者も一部で重複。このことからもAFFの出展者が対日ビジネスのノウハウを積んでいることが分かる。
今回のAFF・東京の出展者のうち、10年以上対日ビジネスの実績がある企業は254社。日本国内に事務所など何らかの拠点を持つ企業も27社ある。中には事業の100%が対日ビジネスという出展者もおり、今さら強調するまでもなくAFF全出展者が日本をビジネスターゲットにし、パートナーになることを望んでいる。
江蘇省、山東省、浙江省、遼寧省という地区別出展者数の上位四つはいずれも沿岸部が占める。しかし今回展には内陸部の省からの出展者も50社あり、コスト削減や一極集中からの回避などを目的に内陸部での事業を模索している日本企業には格好の商談の場になるだろう。
AFF出展者が自己申告する対日繊維製品輸出額の総計は、中国全体のそれの実に約2割を占める。日本で開催される中国の繊維系展示会として最大の規模を誇る同展。日中繊維貿易の質・量両面での拡大・発展に向けて同展の果たす役割は大きく、緊迫する北朝鮮情勢とは別に、今回展でも各所で新たなビジネスが生まれそうだ。
〈今回も多種多様な出展品/日本にとって不可欠な存在〉
今回のAFF・東京2017にも多様な分野、アイテムの企業が出展する。出展される商品は別表の通り。中国系資本の東南アジア工場を含め東南アジアや南アジアの企業も数多く出展する同展は日本で開催される中国系の展示会の中で最大級の規模を誇り、日本の繊維・ファッション企業にとって、もはや外せない存在。今回展でも日本企業の多様なニーズに応える出展者が集結する。
会場となるサンシャインシティ文化会館2~4階(B、C、D館)の展示面積は計8500平方メートル。2階(D館 ブース番号2001~2214)にメンズウエア、服飾品、ベビー・キッズウエア、東南アジア工場エリア、素材・副資材、レザーウエア・ダウンウエア、ホームテキスタイル、デニム、南通イ賦エリア、3階(C館 ブース番号3001~3150)にレディースウエア(布帛)、インナーエリア、4階(B館 ブース番号4001~4139)にレディースウエア(ニット)、作業服エリア――が配される。
〈日中経済貿易センター 理事 池田 稔 氏/中国はまだまだ進化する〉
AFF展の主催者である日中経済貿易センターの池田稔理事に、31回目を迎える今回展の特徴や見どころを聞いた。
◇
――今回のAFF・東京も出展者が充実し、盛況となりそうです。
ここ数年、チャイナ・プラス・ワンの流れの中で東南アジアなどに縫製地が移りました。しかしここに来て再び中国に戻ってきているという話もよく聞きます。中国繊維産業が持つ総合力や底力、日中貿易の歴史の長さ、深さが再評価されたということだと思いますし、われわれの立場としてもぜひとも戻ってきてほしいところです。
――中国の繊維・アパレル企業が品質向上、開発力アップ、サービス機能向上などに取り組んできた結果とも言えます。
以前は中国国内のみが競争相手でした。しかし、チャイナ・プラス・ワンの影響として、東南アジアとの競争という新たな戦いが始まり、これを機に再び機能を磨いたことは大きいと思います。一般的に「中国よりも東南アジアのほうが安い」とよく言われますが、海外との戦いの中で価格対応も以前と比べてかなり進んだはずです。
――OEMにせよ、自社ブランド展開にせよ、東南アジアと比べればファッション性という点でも中国に一日の長があるようです。
確かにAFFでもファッション感度の高い出展者が年々増えているという印象を強く感じます。価格対応、ファッション感度に加えて、多品種・小ロット・短納期機能を磨く企業も多いですし、高機能素材の開発も進んでおり、業界全体のレベルアップ、進化が顕著です。
――日中貿易の現状をどう見ますか。
17年上半期(1~6月)、中国から日本へのアパレル輸出は金額が前年同期比3・3%減少しましたが、数量は1・4%増となりました。チャイナ・プラス・ワンも背景に伸びが鈍化しているのは事実です。ただ、点数でも金額でも、中国は東南アジアの2~3倍以上あり、依然として圧倒的な貿易規模を維持していることは間違いありません。
今回のAFFでも質・量両面で充実した商談が行われ、日中貿易がより緊密なものになることを期待しています。