トンボ/ニットの患者着開発/工業洗濯に完全対応

2017年09月29日 (金曜日)

 トンボ(岡山市)は、医療機関向けにニットの患者着を開発した。高温で乾燥やアイロン処理を行う工業洗濯に対応した製品で、布帛が一般的な患者着と差別化を図る。素材混率と編み方を工夫し特許を取得。初年度1億円の売り上げを目指す。

 同社によると、患者着は布帛が多いが、肌触りの良さや伸縮性の面からニット製品を望む声が近年増えてきた。ただ工業洗濯は、十数段階で汚れを落とす洗いや30㌔の圧力をかける脱水、180℃の高温アイロンに耐えることができる丈夫な素材が求められるため、開発に約2年を要した。

 難航したのがポリエステルと綿の混率。ポリエステルが多いと、脱水したときに服がまとまらず扱いにくい上、自動で畳む機械から滑り落ちてしまい手作業が必要になる。試行錯誤の末、ポリエステル40%・綿60%の混率がベストと判断した。同社の福井正人執行役員は「編み方も徹底的に研究し、全ての工程をクリアした」と説明する。

 今回完成した患者着は上下が分かれたタイプで、ニットが持つ伸縮性に優れ、肌触りが柔らかい。シャツは洗濯に強い樹脂ボタンを採用した。吸汗速乾、防透性などの機能もある。ベージュとミントの2色を用意した。

 現在、医療機関に病衣を貸し出すリネンサプライ業者が製品確認の段階に入っており、販路拡大に期待がかかる。福井執行役員は「満を持して投入した自信作。将来的に医療機関や介護施設以外にも間口を広げたい」と話す。