特集 スクールユニフォーム(3)/探訪 学生制服の現場から/創立60年、運動部を強化/桜華女学院中学校・日体桜華高等学校

2017年09月29日 (金曜日)

 桜華女学院中学校・日体桜華高等学校(東京都東村山市)は2018年4月、創立60周年を迎える。節目の年となる来春は中高ともに校名の変更、運動部の強化やダンス専攻の新設といった改革を進める。制服も一新し、新たな「日体桜華」を全国にアピールする。

〈一流の指導者招く〉

 同校の建学の精神は「健康・努力・敬愛」。心と体が健康であってこそ、人生に前向きになり、たくましく歩むことができるという理念の下に教育を行う。

 60周年の節目を機に同校は「日本体育大学桜華中学校」「日本体育大学桜華高等学校」と改称する。小巻明校長は「日体大ファミリーということを明確にした」と改称の意義を説明する。

 改革の柱の一つが運動部の強化。日体大系列の同校は元々部活動が盛んだが、近年は結果を出せないことも少なくなかった。まずは、スポーツが得意な生徒を全国から集めるため、今年度から寮を完備した。遠方から入学できるようになり、山口や九州の小学生からも問い合わせがあるという。

 さらに剣道やバスケットボール、レスリングの学生チャンピオン、社会人大会の覇者ら各競技に実績がある指導者をそろえた。小巻校長は「部活動は指導者で大きく変わる。レベルアップを図りたい」と話す。

 高校の「総合スポーツコース」には「ダンスパフォーマンス専攻」を新設する。一流のダンサーの指導に加え、ダンスの歴史や演技構成の授業もあり、総合的にダンスを学ぶ。18年秋には専用スタジオを備えた新体育館も完成する予定。

〈上位層の指導に力〉

 学習面では、高校に「アドバンストクラス」を設け、上位層の指導に力を入れる。これまではきめ細やかな指導で、全体の学力の底上げを図ってきたが、より発展的な学習に取り組む。

 高校卒業後の進路だけではなく、10年、20年先を見据えたキャリアを描けるように支援する。総合的な学習の時間を「キャリア教育」に充て、ディスカッションや発表を通して、生徒自身がどのような道を選択するのかを考える。

〈制服は新ブランド〉

 60周年に合わせ、制服も一新する。女子高生から人気が高い「アース ミュージック&エコロジー」と、制服ブランド「カンコー学生服」がコラボレーションした「カンコー×アース ミュージック&エコロジー」の制服を全国で初めて採用した。

 16年4月に立ち上げた制服検討委員会は、教員や事務長ら6人で構成。新しい制服には「清潔感、かわいらしさ、スポーティーさ」を求めた。全教職員にアンケートしたところ、ブレザーとスカートの組み合わせを望む声が多く、採用を決めたという。

 ブレザーはブラウンをベースに、丸襟に同校のカラーの薄ピンクのパイピングが施されている。紺やグレーが多い学校制服の中で、ブラウンは当初予定していなかったが「校舎のレンガ色に合い、ピンクと相性が良い」(鈴木晋一事務長)ため取り入れることにした。

 裏地にもこだわる。端に薄ピンクのレースをあしらい、細部までかわいらしさを出した。襟元のストライプのリボンは中学がピンク、高校がベージュで区別する。

 ベージュを基調に、ピンクのラインを入れたギンガムチェックのスカートは、通常より細かい28本ひだのプリーツにした。動くたびに揺れる繊細なシルエットで、清楚な印象を与える。上下とも素材はウール混で伸縮性に優れ、家庭で洗濯できるウオッシャブル加工を施した。

 思い切ったのが、アイボリーのニットパーカの採用。パーカは生活指導の対象になることが多く、校則で着用を認めていない学校が一般的だ。校内ではパーカの導入に慎重意見もあったが、スポーティーなイメージにも合うため採用した。

 検討委員会のメンバーの鈴木事務長は「今の子供には格好良いと映る。『あの制服はどこの学校だろう』と関心を持ってもらえたらうれしい」と話す。

 夏服は半袖ブラウスとリボンの基本のスタイルに加え、黒と白のポロシャツを用意した。いずれも薄いピンク色で「Ohka」と校名の刺しゅうが入っている。ポロシャツのボタンと脇のスリットにもピンクを使った。

 制服の他では、黒のスクールバッグに加え、スポーティーな印象になるリュックサックも加えた。小巻校長は「60周年の節目にふさわしい独自性がある制服ができた」と話し、「学校のイメージアップにつなげたい」と意気込む。制服は玄関ホールのガラスケースに展示された。来春、新制服を着た生徒たちで学校はにぎわう。