日中貿易、新しい活力/「AFF・東京2017」に見る(前)/着実に進む自動化投資
2017年10月04日 (水曜日)
9月27~29日に都内で開かれた製品OEM/ODM展「AFF・東京2017」は日中関係の深さを改めて示すものとなった。主催した日中経済貿易センターは前年比10%増の来場者数を見込んでおり、実際、取材した出展者の多くが「去年より人出が多い」との感触を話した。人件費高騰、原料コスト増や工場での人材確保難など、困難に直面する中で生き残りを懸けて力強く高度化を追求する出展企業から、両国繊維貿易の方向性が見える。
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設立8年の寧波錦源服飾は商社3社から見積もり依頼を受けた。専門店販路の開拓に手応えをつかんだ。披露したサンプルはベルベット使い、レースや花柄プリントなど2次加工物で、日本で今秋冬・来春夏の製品企画としてしばしば目にするトレンド商材。
「貿易のノウハウよりファッションに関する専門性が求められる段階」と言い切る趙正秀社長は、欧米、日本のトレンドリサーチを月ごとに行うなど対日ODM機能向上に向き合う。協力工場を使って複雑な加工をこなす一方で、日本の顧客から納期に対する要望はますます高まるが「納期管理の手法を磨く良い機会」と前向きだ。
省人化に貢献する自動化投資について、カットソー縫製工場、イ坊沢潤服飾では既に13年に導入。商社、ユニフォームアパレルからの受注が安定する一方で深刻化する自社工場の人員確保難への対策だったが、さらに今年は生産・納期を管理するシステムを導入した。「縫製工場の効率化へソフトウエアを使って管理する」(劉琦総経理助理)ことを機能強化の方向性とする。
同システムに対する関心は上々。今後の商談への期待と「精度の高い生産進捗(しんちょく)管理へのニーズを感じた」展示会となった。
03年に素材メーカーとして設立し、08年から寝装品、衣類の製品OEMを手掛ける聯潤翔〈青島〉紡織科技は昨年、自社縫製工場の設立を決めた。自動延反・裁断機、ハンガー搬送システムを導入する予定で、中国縫製工場の新たな設備投資で方向性の一つになっているようだ。
如意控股グループ傘下のスーツ工場、温州庄吉服飾はさらに採寸情報のほか、裏地、ラペル形状、ボタンホールの糸の色を自由にカスタマイズできるウェブ発注システムを開発。納期の半減だけでなく、企業、消費者両方を対象に、O2O(オンライン・ツー・オフライン)で日本市場のオーダーメードスーツ需要を取り込むビジネスモデルの革新性が際立った。