東レ「ウィズリリーフ」/新防虫加工を開発/安全性高い薬剤採用

2017年10月27日 (金曜日)

 東レはこのほど新たな防虫加工素材「ウィズリリーフ」を開発した。虫の忌避剤に安全性の高い薬剤を採用することで大人から子供まで幅広い人に向けて使えるほか、ペットなど動物への悪影響もない。独自の微細加工によって耐久性も高い。農業や建設など屋外作業服のほかアウトドア・スポーツ、学生服、子供服、インテリアなど幅広い用途へ提案する。2018年4月から販売を開始し、18年度5万メートル、20年度には30万メートルの販売量を目指す。

 近年、蚊やダニなど虫を寄せ付けない防虫加工生地への注目が高まっている。防虫加工に使用する忌避剤はトルアミド系化合物である「ディート」が一般的だが、ディートは使用頻度や使用量によっては人体への悪影響があることから高濃度含有品は12歳未満への、低濃度含有品でも6カ月未満児への使用が禁止されている。プレスリン系やピレスロイド系忌避剤は猫など動物に中毒症状を引き起こす危険性があり、米国では訴訟問題にも発展した。

 このため東レでは忌避剤の安全性に改めて着目。ウィズリリーフではディートより安全性が高いとされるイカリジンを忌避剤に採用した。イカリジンは1986年にバイエルが忌避剤として開発したもので、ディートのような安全性面でのリスクが低いとされる。欧州、米国、豪州、マレーシアなど54カ国で忌避剤として既に登録されており、日本では2015年に承認された。東レはこれをいち早く採用することで高い防虫性能と、子供向けでも使える安全性を両立した。

 機能加工は機能剤を低親和性被膜と高親和性被膜で挟み込んだ立体構造を繊維上に形成する。これにより高い耐久性と機能発現を両立した。ポリエステルのほか、ポリエステル綿混など幅広い素材への加工も可能である。

〈東レ/高精度プリントで先染め柄/学生服地へ新提案〉

 東レが先染め柄を高精度プリントで表現した学生服地を開発した。今日27日まで大阪本社(大阪市北区)で開いているユニフォーム素材展示会でアピールしている。

 素材は学生服向けで販売するポリエステル素材「ミランザ」を使い、プリントは小松精練のインクジェットプリント「モナリザ」を使用する。

 先染め糸や織布で出していた色柄をプリントにすることで、これまでより少量・短納期生産対応が可能になる。素材メーカーの糸在庫や生地在庫の削減にもつながる。現在、学生服素材メーカーは学校ごとに違う服地を安定供給するために常時膨大な数の先染め糸を在庫する必要がある。ポリエステル100%なので価格も抑えられる。

 今回の展示会は夏の快適性がテーマ。年々、暑さが長引くようになっている夏のさまざまな不快感に、同社の実験施設による数値で裏付けられたた機能で新たな解決策を示す。

 学生服以外にもワーキングウエア、サービスウエア、オフィスウエア、防護服などで最新の快適素材・製品をアピール。

 ワーキングウエアでは防虫加工が新たに加わった(別項)。高通気タイプ防護服「リブモア」では耐油性を備えた商品が登場。サービスウエアでは外食産業向けの制服で高い耐洗濯性、耐塩素性を訴求する。オフィスウエアではニットでの提案を強化した。乳がん患者向けハーフトップや情報通信技術を使った機能素材「hitoe(ヒトエ)」も展示する。

 東京展は11月1、2日に東レ本社(東京都中央区)で開く。