綿紡績大手/下半期 反転攻勢へ/苦戦分野の立て直し急ぐ

2017年11月13日 (月曜日)

 綿紡積大手7社の繊維事業は2017年度上半期(4~9月)は7社中6社が減収、営業利益は3社が減益、1社が営業損失と苦戦が目立つ。通期では4社が増収増益を計画し、上半期の苦戦分野の立て直しや不振分野の事業改革を急ぐ。(橋本 学)

 ダイワボウホールディングス(HD)は繊維事業で過去最高となる営業利益32億円を目指す。合繊・レーヨン事業は原燃料、原料価格の上昇が課題。下半期(17年10月~18年3月)で生産性の改革によりコストダウンを図る。好調だった衣料品OEMは取引先の好調が今後も続く見通し。門前英樹取締役専務執行役員は「高い目標だがクリアしたい」と話す。

 日清紡HDは“外・外ビジネス”の拡大を加速する。そのためにインドネシアの生産拠点の品質向上とマーケティングの拡大に取り組む。ブラジル事業は現地生産・消費のビジネスモデルで好調が続く見込み。好調のスパンデックス「モビロン」はパンスト向けの販売を強める。輸出は中国に加え欧米でも拡大する。

 クラボウは、下半期で稼ぐ事業構造だが、ここまで産地需要の低迷で苦戦する原糸分野をいかに立て直すかが鍵を握る。北畠篤代表取締役常務執行役員繊維事業部長は、「川中でパートナー企業を探して目標を達成したい」と話す。カジュアル衣料OEMは来春夏向け受注が好調、引き続き順調に拡大する見込み。タイ、インドネシア子会社は国内向けに加え米国向けで拡大基調にある。工場の納期管理と品質向上でレベルアップを図る。

 日東紡はスポーツ・アウトドア衣料で高付加価値品の開発・販売を強める。多層構造のカバリング技術の活用や合繊メーカーと協力しストレッチ性と保温性、耐久性に優れた機能糸で付加価値を高める。中国市場へはアパレルとの直販ルートの開拓に取り組む。主力の芯地販売は引き続き低調に推移する見通し。

 シキボウは上半期のレディース・カジュアル衣料向け原糸販売の不振を受け、下半期に富山工場の生産体制を見直す。海外生産糸の輸入を増やし、富山工場で生産する差別化糸を、自社のテキスタイルなど自家消費に充てる。ベトナムの紡績協力工場とインドネシアの紡織加工子会社、メルテックスで双糸と強撚糸の生産を増やす。両国の生産強化で上半期に撤退したタイ紡績合弁会社の商権を継承する。

 富士紡HDは、メインの量販向けの肌着販売で取引先と連携したビジネスを進めるほか、電子商取引(EC)やテレビショッピングなどに力を入れる。EC関連の人材の確保、社内教育の充実に取り組む。研磨材事業と化学工業品事業は、研究開発や設備投資を行い、拡大する需要に対応する。

 オーミケンシは機能性レーヨンの中国内販を強める。下半期は差別化したレーヨンわたの新たな販路開拓に力を入れる。近絹〈上海〉商貿の青島分公司を営業拠点とし、フェースマスク用不織布、糸、テキスタイルなどへの提案を続ける。