「北陸ヤーンフェア」/長繊維産地に短繊維/長短複合糸やアクリルで

2017年11月13日 (月曜日)

 8、9の両日、金沢市の金沢流通会館で開催された「第2回北陸ヤーンフェア」には短繊維の提案も数多く見られた。合繊長繊維織・編み物産地である北陸だが、苦戦する日本の繊維産地の中にあって健闘する。それだけに北陸産地の新ビジネスに結び付けようと、短繊維系の出展者もさまざまな提案を行った。

 今回展には綿紡績業界から新内外綿が出展したほか、グループ企業の日本エクスラン工業を含めた東洋紡STC、帝人フロンティアと共同出展した東邦テキスタイルも紡績糸、三菱ケミカルはアクリル短繊維による紡績糸をメーンに訴求した。

 新内外綿は村田機械の渦流精紡機「ボルテックス」を使った精製セルロース繊維「テンセル」100%による「ビスコチェントエアー」などを提案した。テンセル使いながらハリ・コシ感が出せるのが特徴。カジュアル向けが主力の同社では珍しい機能糸も出品した。抗菌加工を施したポリエステル短繊維とテンセルの2層構造糸で吸水速乾性も併せ持つ新開発糸を訴求した。同社は日本の繊維産地での展示会を再開したが、北陸ヤーンフェアの出展はその一環でもある。

 東洋紡STCは長短複合糸「マナード」「フィラシス」をメーンに、日本エクスラン工業はアクリレート系繊維「エクス」、極細アクリル短繊維「極衣」を提案した。北陸産地への糸販売は少ないが、同展を通じて新規顧客開拓を狙った。

 長短複合糸では風綿が出にくいことから長繊維使いの経編みにも向く点を訴求。差別化材料として北陸産地でも使えることをアピールした。同社は今回、共同出展した日本エクスラン工業と、富山事業所による共同開発プロジェクト「HEXS(ヘクス)」も設けるなど、生産・開発さらに販売も含めた連携強化も図っている。

 初出展の東邦テキスタイルはペットボトルリサイクル短繊維「エコペット」のリング紡績糸、オートコロ紡績糸、綿混のボルテックス糸、さらに防透・遮熱のポリエステル短繊維「ウェーブロンΩ」使いを提案した。帝人フロンティアとのコラボも進んでいるという。

 三菱ケミカルのアクリル短繊維は北陸産地向けが少ないだけに、新規顧客開拓を狙って初出展した。特に極細アクリル短繊維の新タイプ「ミヤビ ファイバー 06」は好反応を得た。

 新開発の導電アクリル短繊維「L100」も訴求した。L100は同社の芯鞘構造の導電アクリル短繊維「コアブリッド」よりも高性能の新素材としている。