ひと/シキボウ上席執行役員 繊維部門長に就いた加藤 守 氏/瀬島氏の遺志引き継ぐ
2017年11月21日 (火曜日)
「瀬島さんの遺志を引き継ぎながら、自分の色も出せれば」。13日付で上席執行役員繊維部門長に就いた。11月8日に急逝した瀬島雄二氏(当時取締役常務執行役員繊維部門長)の任務を引き継ぐ。瀬島氏とは四半世紀にわたり仕事を共にしてきた。「公私ともにここまでお世話になった人はいない。見送る言葉はありがとう以外になかった」と語る。
「独自のモノ作りを基本とする方針は変えないが、営業において、これまでより積極的に仕掛けて行く」と話し、「最終消費者や販売ルートから逆算した商品開発や営業戦略を立案し、ビジネスに確実に結び付けることが重要」と説く。
1982年に入社してからさまざまな部署で営業経験を積んできた。最初は本社でカジュアル生地の欧米輸出に携わり、85年のプラザ合意後は、プリント生地販売を担当する。
その後、ストレスフリーの縫製特許「ノンプル」を使った別注ユニフォームの製品販売に関わる。90年代前後のシキボウでユニフォームと言えば学生シャツがメイン。ワーキングウエアのOEMはマイナーだった。だが、その頃から企業がオリジナルの制服を志向するようになり、売り上げは急拡大する。
92年、タイに合弁の染色加工会社、SSDCが設立され、現地でユニフォーム生地の組み立てを任された。「タイで糸から織布・加工まで全ての組み立てを任され、初めて繊維の知識が身に付いた」
この頃に、人生を左右する出会いが重なる。一つは駐在員の瀬島氏との出会い。以後ずっと仕事でタッグを組むことになる。もう一つはタイ人の奥さんとの出会い、7年の交際の末、結婚。家庭に欠かせないパートナーになる。
2003年からはインドネシアの紡績・織布・加工会社メルテックスに駐在し糸、織物、加工布の営業を担当する。当時の工場長が瀬島氏で共に新たな販路開拓に励んだ。仕事に熱中した時でもあり、ゴルフにも目覚めた時でもあった。「今も趣味で続けている。当時、ゴルフで親交を深めた異業種の方には今でも助けられている」という。
酒はほどほど。家ではほとんど飲まないそうだ。「ただ、社内や取引先の方とはよく飲みに行く」。仕事仲間や顧客との会話の中で経営のアイデアをひらめくことも多い。座右の銘は「一期一会」。「妻との出会いも偶然から。一人一人の出会いを大切にしていきたい」
(学)
かとう・まもる 1982年4月敷島紡績(現・シキボウ)入社、2007年5月衣料素材部長(ユニフォーム担当)、11年5月マーメイドテキスタイルインダストリーインドネシア(メルテックス)社長を経て、14年10月繊維部門総括部長。15年6月執行役員繊維部門総括部長、16年6月執行役員繊維部門総括部長兼グローバル事業推進室長。17年11月上席執行役員繊維部門長兼総括部長兼グローバル事業推進室長に就任。59歳。