アパレル総合18春夏~ネクスト・トレンド~(4)/カジュアル編

2017年11月24日 (金曜日)

〈エドウイン「エドウイン 503」/シルエット大幅刷新〉

 エドウインは、20周年を迎える主力ブランド「エドウイン 503」のシルエットを18春に向けて大幅に刷新する。

 新ラインアップは、五つのシルエット×デニム素材のバリエーションで展開する。①503スーパースキニー(カイハラ10オンスストレッチ)②503スキニー(日清紡12オンスストレッチ)③502スリムテーパード(日清紡12オンスストレッチ)④503レギュラーストレート(カイハラ11・25オンス綿100%ライクな微弱ストレッチ)⑤504ルーズストレート(カイハラ11・25オンス綿100%ライクな微弱ストレッチ)。デニムらしい風合いと、はきやすいストレッチ性にこだわり、シルエットごとに最適なデニム生地を開発した。

 従来のシルエットに、スーパースキニーやスキニー、ルーズストレートを加え、若い世代の細身からルーズな着こなしまでカバーする。新型503はデニム、縫製、加工の全てがメード・イン・ジャパンだが、価格は発売当時の7900円に抑える。本物の国産ジーンズをベーシックな価格で提供し、若い世代のジーンズ需要を喚起する。

〈キシユニバース「ウェア ボブソン」/デニムの楽しさを追求〉

 「ボブソン」ブランド販売代理店のキシユニバース(東京都中央区)の自社ブランド「ウェア ボブソン」は、ジーンズブランドとしてデニムにこだわりながら、トレンドやモードなどファッション要素を取り入れ、デニムの楽しさを追求する。

 同ブランドはここ数シーズン、メンズ、ウイメンズともに毎シーズンゲストデザイナーと協働でコレクションを発表し、デザイン性を追求する高感度ブランドとして認知度が上昇している。18春夏はメンズが「BED j.w. FORD」の山岸慎平氏、ウイメンズは先シーズンに引き続き、「CINOH」の茅野誉之氏を起用する。

 コラボ以外の基幹部分は「ストリートやモードなどのトレンドやデザイン感を吸収、消化し、デニムの楽しさが伝わる商品を打ち出したい」と、クリエイティブディレクターの市川直伸氏は語る。

 18春夏では、ビッグシルエットのインディゴのブルー、ブラックのMA―1ジャケットや、手縫いのステッチやロングループのベルトが特徴的な七分丈のスキニーパンツで個性を際立たせる。

〈コダマコーポレーション「フリーゲート」/麻、ストレッチを強化〉

 カジュアルウエアメーカーのコダマコーポレーション(広島県福山市)は、カジュアルウエアブランド「フリーゲート」の18夏物ボトムスで、「麻」「ストレッチ」をキーワードにラインアップを強化する。

 具体的には綿麻混のストレッチ素材を活用したパンツや麻素材を活用したショートパンツなどをアピールする。「消費者の目を引くには商品に二つくらいキーワードが必要」と市場を分析、18夏は「麻」「ストレッチ」を打ち出す。

 ジーンズは、2017年秋から動き出したバングラデシュ生産が順調に進み、18春夏物から日本への供給が本格化する。

 フリーゲートは、同社とサン・メンズウエア(大阪市西区)、山本洋品雑貨(名古屋市中区)の3社で展開するカジュアルウエアブランド。フリーゲート全体の18夏は、サン・メンズウエアが手掛けるデニム調素材を使ったパッチワーク風Tシャツなどのトップスや、山本洋品雑貨のインディゴ調の合繊素材を活用したバッグやエプロンなど、従来以上にデニム感を強めたアイテムをそろえる。

〈ジャパンブルー「インディゴハンズ」/倉敷美観地区にオープン〉

 ジャパンブルー(岡山県倉敷市)は今月3日、観光名所の倉敷美観地区(同)に、自社ブランド「ジャパンブルージーンズ(JBJ)」「ソウライブ」の複合店舗「インディゴハンズ」を開いた。同社としては初の“インディゴ”をテーマにしたコンセプトショップで、2ブランドそれぞれの“青”の世界観を出しながら、初年度1億円の売り上げを目指す。

 ホテルなどの複合観光施設「倉敷アイビースクエア」近くに立地し、レトロな建物が印象的。店名の「インディゴ」に“日本の青で世界を目指す”、「ハンズ」に“モノ作りの手にうそはない”という意味を込め、ジャパンブルーのミッションをそのまま受け継ぐメッセージとして広く発信する。

 美観地区をイメージしたステッチを取り入れたセルビッヂデニムのジーンズなど、地域に着目した倉敷店のみの限定品も販売する。

 岸本裕樹上席執行役員は「二つのブランドをパワーアップして発信できる見せ方をしていければ」と述べ、ブランドの認知度向上に期待。インディンゴハンズを試金石として、他の地域へブランドの複合店舗の展開を視野に入れる。

〈カイハラ/海外向けに機能提案充実/ジーンズでも採用機運向上〉

 カイハラ(広島県福山市)は、世界的に盛り上がる健康志向のトレンドに向け、国内の機能素材を用いたデニムの提案を進める。

 貝原淳之専務は「アスレジャーやアフタースポーツの市場が世界的に膨らんでいる。カジュアルアパレルにもトレンドは波及している」と指摘する。同社は数年前からスポーツ系ブランドへの提案を重視、2017年に入り、実績を上げつつある。

 スポーツ関連分野で高機能デニムの採用が広がる中で、「保守的な欧米カジュアル、ジーンズブランドでも高機能デニムの採用機運が出てきた」ことから、提案を強化する。特に機能素材では日本製素材のアドバンテージが高いと見ており、これまでの開発ノウハウを生かした提案を継続する。

 一方で、欧州市場ではリードタイムの短縮が強く求められている。既に日本からの輸出対応では厳しい環境にある。欧州向け物流の再構成を進めるなかで、欧州に少しでも近くなる、カイハラ・タイランドの活用拡大も中長期的な視野で進める。

 国内向けには2018年2月に東京・表参道駅でのプロモーション広告を継続展開するほか、建築資材用途でのデニムの採用などを模索する。

〈豊島/より引き付け型が進む/18春夏OEM〉

 衣料製品OEMを展開する豊島は、18春夏のOEMについて、レディースのカジュアルウエアで、特に2018年1月以降、これまで以上に短納期の引き付け型になっていくと見ている。消費者のニーズが多様化し、これまで以上に多品種、少ロット化が進んでいることもその一因となっている。

 中国などの縫製拠点での協力工場のQRが、従来の手法では対応しきれなくなっている。そのため協力工場の集約化を進める。対象となる工場とのパートナーシップや取り組みをより深め、ハード、ソフト両面からの支援で、各工場の稼働率を高める。

 一方で確かな品質をベースに、さらなる高付加価値化を求める動きが強まっている。特に差別化した原料、素材は製品販売時のストーリー作りに役立つため、OEMの担当部署は原料や素材の担当部署とも連携し、従来以上に製品担当から見た視点で原料、ブランド化やプロモーションも含めて素材を絡めた提案を充実させる。

 同時にITを活用したソリューションやサービスなど、より大きな仕組みや仕掛けで、取引先の課題解決にいっしょに取り組み、業界の活性化につなげる。

〈レンチング/高い日本の開発力証明/モリリン、龍田紡績などが受賞〉

 レンチングはこのほど北東アジアのテキスタイルメーカー・コンバーターを対象にイノベーティブな素材開発を目的とした生地コンペ「レンチング・イノベーション・アワード2017」を開催した。日本からも多数の応募があり、「マイクロ部門」のベストイノベーション賞にモリリン、イベント当日の人気投票で龍田紡績の素材が選ばれるなど日本のテキスタイル開発力の高さが証明された。

 今回のコンペは精製セルロース繊維「テンセル」、HWMレーヨン「モダール」いずれか30%以上含む生地が対象。北東アジア各国から多数の応募があり、日本からは豊島、桑村繊維、新内外綿、モリリン、龍田紡績がノミネートされ、トップ20に豊島、モリリン、龍田紡績が残った。

 「マイクロ部門」ベストイノベーション賞に選ばれたモリリンの生地は「マイクロモダールエア―」を村田機械の渦流精紡機「ボルテックス」で紡績した糸によるもの。柔らかさと弾力性を両立したほか、消臭加工テンセルを混紡することで速乾・防臭の多機能を実現している。

〈YKK「再帰反射ファスナー」/高視認性で安全性向上/テープ部が再帰反射機能〉

 “高視認性”が注目されている。日本交通安全教育普及協会(JATRAS)が「児童向け高視認性安全服」「自転車通学者用高視認性安全服」の認証ラベル制度を開始している。文化服装学院(東京都渋谷区)は11月の文化祭で、29グループ(103人)の学生が制作した子供・児童用高視認性安全服を発表した。

 スポーツ分野でも、夜間のランニングシーンを想定してシューズにリフレクターを付けるなどの動きが活発化している。

 こうした安全性への潮流にYKKは「再帰反射ファスナー」を提案する。テープ部に再帰反射フィルムを貼り付け、反射機能により夜間の視認性を高めるファスナーである。再帰反射糸をテープ部に織り込んだタイプもある。夜間のウオーキングやランニング、自転車での通学・通勤シーンで機能を発揮する。

 「透明コイルファスナー ミシン糸蓄光仕様」も販売している。これは、透明コイルファスナーの縫工糸に蓄光糸を用いたもので、ナイトランウエアなどが用途。ファスナーが高視認性で生活の安全をサポートする。