学生服メーカー/高品質ウール、高視認性に広がり/性同一性障害対応の制服開発も

2017年11月29日 (水曜日)

 学生服メーカーの2018年、19年入学商戦向け新商品は、高品質ウール、高視認性といった品質と機能を併せ持つ制服の投入が目立つ。人気があるブランド、デザイナーと協業した企画や、性同一性障害の生徒に対応する企画も増えてきた。

(於保佑輔・國分瑠衣子)

 制服で他校との差別化を強く望む声が増える中、ウール高混率の素材開発が増えてきた。菅公学生服(岡山市)は、「カンコーウール」を使ったブレザーを開発。世界最大の豪州の羊毛検査機関AWTAの検査データから学生服に最適なウールを厳選、ウール80%の高混率で光沢感や柔らかな風合いを出しながらも強度を備え、家庭洗濯もできる。

 佐藤産業(東京都千代田区)も「改めてウールの良さを提案する」と、ニッケが今年投入したウール高混率の戦略素材「ミライズ」の詰め襟服を開発した。高いストレッチ性や軽い着心地、従来に比べ黒に深みがあるのが特長。ニッケによるとミライズの制服は、順調に採用校が決まり「ミライズの第2弾の開発も考えていく」という。

 人気があるブランドやデザイナーとの協業も目立った。瀧本(大阪府東大阪市)はアダストリアが展開する「ローリーズファーム」の制服を新投入。可憐で清楚といったイメージを重視した制服で、中でも店頭販売向け商品では「販売代理店からの関心も高かった」と手応えをつかむ。

 トンボ(岡山市)は、女生徒に人気の「イーストボーイ」の採用が来春から本格化するとともに、自社ブランド「バーシティメイト」では、デザイナーの松倉久美氏と提携し、各校のオリジナル制服の開発にも力を入れる。

 明石スクールユニフォームカンパニー(明石SUC、岡山県倉敷市)は、ジーンズブランド「ビッグジョン」の制服を開発。今年4月、倉敷市の繊維産業が日本遺産に認定されたことを受け、全国に倉敷の繊維文化を発信しようと企画した。ウール・ポリエステルの上品な風合いを持つデニム調素材で、おしゃれに着こなせる。

 安心、安全という視点での商品開発も増えてきた。児島(倉敷市)は、昨年から「安心・安全・愛」をテーマに、視認性の向上とデザイン性を融合させた商品を充実。明石SUCは「明石SUCセーフティープロジェクト」を立ち上げ、神戸学院大(神戸市)と連携しながら防災教育の浸透に取り組む。

 オゴー産業(倉敷市)は蛍光ベストや、視認性の高いオレンジ色の多機能ランドセルなど「子供の安全を考える」という視点の商品群が広がってきた。

 佐藤産業もチェック柄に反射加工を施した糸や、ブレザーに再帰性反射材を使ったスカートを提案した。

 文部科学省が性同一性障害の児童生徒に対する、制服やトイレといった学校での対応例をまとめる中、ユニセックス対応といった新たな制服開発も菅公学生服やトンボなどが試みている。菅公学生服では、制服規定書を作り、標準服の中から着たいアイテムを選べる仕組み作りを進める事例校も紹介し、高い関心を集めた。