技術の眼
2017年12月07日 (木曜日)
「技術の眼~NEW WAVE GENERATING TECHNOLOGY~」では将来的にニューウェーブを巻き起こすような重要な技術になりうるかもしれないものにスポットを当て、紹介する。
〈YKKスナップファスナー/上品でスマートに〉
YKKスナップファスナーの「パーメックス エキストラタイプ」は、従来のパーメックスに比べ全高が低く、スマートで上品な外観が特徴のメタルリングアクションのスナップだ。伸びが少ないしっかりとした生地に最適である。
スナップは上前のソケットと下前のスタッドを合わせることで留め機能を発揮する。この上前のソケットがリングバネ構造なのが「パーメックス」。接合に強さがあり、厚地に向く。一方、ソケットが2本バネのミシェールタイプもあり、外観はミシェールの方がスマートな印象である。
パーメックス エキストラタイプはアクションの確実性を重視してパーメックス由来のリングバネの構造だが、外観はミシェール風にした。このため、全高がパーメックスよりも低く、高級感がある。
本格販売は今年からで、重衣料から布帛アウター、ボトムスなどに展開。レザー小物分野にも広げる。
〈ミツフジ/使い切りスマートウエア開発〉
ウエアラブルIoTメーカーのミツフジは、IoT最終製品サービス「hamon(ハモン)」の使い切りウエアを開発した。快適な着心地と価格抑制を両立したもので、同社によると使い切りのスマートウエアは例を見ないという。ヘルスケアデータの管理や見守りへの活用が期待でき、年内にも介護老人福祉施設で試験導入が始まる。
ハモン使い切りタイプは、これまでと同様に着心地を加味しながらも使い切りにできる製品価格を実現している。ウエアの素材には伸縮性や吸水速乾性を持つ不織布を使用し、手洗いで5回程度洗濯できるという。
ウエアの両脇に極薄の面ファスナーを使用しているため、着脱が用意。介護用ウエアは、被介護者や子供の寝返り時などに負担の少ない位置にトランスミッタを配置するが、下向きのポケットカバーを付けることで就寝時などに間違って取り外すことを防止する。
〈東レ/高い遮熱・紫外線遮蔽性〉
東レはこのほど、高い遮熱性と紫外線遮蔽性、透け防止性能を実現したポリエステル織・編み物「ボディシェルEX」を開発した。ポリマー技術と複合紡糸技術によって原糸に高濃度のセラミックス粒子を含有させ、最適なテキスタイル設計を組み合わせることで従来素材を超える機能を実現した。
ボディシェルEXは光の透過を押さえるセラミックス粒子を紡糸可能な限界まで含有させるポリマー設計技術と、そのポリマーを用いた複合紡糸技術、遮熱性と紫外線遮蔽性、透け防止性を最大限発揮するテキスタイル構造を実現した高次加工を駆使して開発したもの。原糸の中心部に高濃度セラミックス粒子含有ポリマーを配置し、その周囲をポリエステルポリマーで覆う芯鞘構造複合繊維とすることにより、加工性を損なわずに通常のフルダルポリエステルの5~10倍のセラミックス粒子を含有させることに成功した。
〈フランスベッド/いびき改善への特化枕〉
フランスベッドは、いびきの改善に特化した横向き寝促進枕「ドクタースリープバンテージ」を開発、販売を開始した。
今回の新商品は、14年10月に発売し3年間で25万個を販売した横向き寝専用枕「スリープバンテージ」を改良したもの。購入者のレビュー分析から、いびき対策を期待している声が多かったため、札幌徳洲会病院・循環器内科、虎の門病院・睡眠呼吸器科の医師、後平泰信氏監修の下、横向き寝がより維持できるドクタースリープバンテージに進化させた。
ポイントは①J字型の長い部分を長くし従来品より体のラインに沿ったカーブ形状にすることで頭・首・肩・背中をしっかりサポートし安定感が増大した②横向き寝に最適な高さで肩への負担を軽減した③詰め物をポリウレタンフォームに変え適度な硬さを実現した④耳用くぼみで長時間使っても耳が痛くなりにくい⑤サポートベルト付きで横向き寝姿勢を長時間維持できる――こと。
〈ナイガイ/“安眠ソックス”販売〉
ナイガイは、婦人レッグウエアブランド「コンセプト」の新アイテムとなる“安眠ソックス”を商品化した。筑波大学と産学共同で開発したもので、快適な眠りのためのさまざまな機能を付与している。
これまで同社は、筑波大学大学院人間総合科学研究科の宮本俊和教授と共同で商品(靴下)を開発してきた。そうした取り組みの中で自律神経を副交感神経優位にすることで快適な眠りが得られるのではないかという仮説を立て、“安眠ソックス”の商品化を共同で進めた。
副交感神経を優位にするには、つぼ押しや温湿度調整が効果的とされる。新商品は趾球(しきゅう)周辺とくるぶしの下、かかとの下を編み組織や締め付けの調整で押える。レッグ部とつま先、かかとはシルクを使用して適度な保湿性を付与し、そのほかの部位はアンゴラ混素材を用いる。締め付けすぎることのないゆったりな口ゴムとし、レッグ部は足形状に沿った設計を採用した。
〈三菱ケミカル/フルダルのトリアセテート〉
三菱ケミカルは、トリアセテート「ソアロン」のフルダルタイプとなる「トライラテ」を開発した。酸化チタンを繊維に練り込み、透け防止やUVカット、遮熱といった機能を付与した。
テキスタイル営業グループ機能テキスタイルチームによると、ソアロンのフルダルタイプの展開は初めて。ソアロンは発色性や風合いに優れ、ファッション素材として人気を博すが、「新素材のトライラテは表側ではなく、肌側に用いるなど「機能面を前面に押し出す」(機能テキスタイルチーム)。
酸化チタンを高濃度に練り込むことで紫外線や可視光、赤外線の透過率を抑制し、透け防止などの機能を高めた。同社のテストでは、ブライトと比べて紫外線透過率や可視光透過率で大きな差が生まれ、生地表面の温度にも違いが生じる。トリアセテート本来の質感や機能性も併せ持つ。