タスコ/独自SBの開発強化/プレス可能な新商品も

2017年12月20日 (水曜日)

 ユニチカのタイでのポリエステルスパンボンド不織布(SB)製造子会社、タイ・ユニチカ・スパンボンド(タスコ)は独自SBの開発を強化する。その一環で2017年4月に技術開発部を新設。「開発拠点としての機能も高める」(神ノ門英明社長)。同時に輸出比率が70~80%と高く、最新鋭機の3号機を17年導入したこともあり、品質管理を強化するため品質管理部も4月に新設した。

 独自SBの開発は進んでおり、プレス加工などが可能な高機能ポリエステルSB「マリックスAX」も既に商品化した。同SBはプレス加工によりボード状に加工できるほか、エンボス加工によってさまざまな形状にもできる。吸音性、通気性、軽量性、断熱性などを生かして多様な産業資材分野に販売する。

 生産は3号機で行う。3号機はこれまでにない独自技術を組み入れた最新鋭機で、年産6千トンの規模を持つ。機械幅は5・8メートルで、1平方メートル当たり70グラムから600グラムまで生産可能で、主力とするタイルカーペット、カーマットの1次基布のような既存商品だけでなく、各種原料を使用できる。

 岡崎事業所(愛知県岡崎市)で生産する「エルベス」のようなポリエステル・ポリエチレンなど2成分SBも生産できる。その機能を生かしてマリックスAXを開発しており、「今後もSBのシートだけでなく、ボード状はじめ加工度を高めた開発に力を入れる」。

 新商品開発に取り組む一方で、タイルカーペット、カーマットの1次基布などは輸出が多いことから品質管理も強化する。販売面では1次基布の輸出やタイ国内向けの土木資材の拡大も図る。タイ国内の土木資材はローカルスタッフによる営業力も強化する。

 17年は1、2号機が前年度に続きフル生産販売を続けている。3号機の導入で、タスコのポリエステルSB生産能力(公称)は2・5倍の1万トンに拡大した。

 今後、3号機は岡崎事業所との品種の住み分けも行いながら19年のフル稼働を目指す。現在、従業員数は90人だが、フル稼働時には120人体制になる見通し。

 タスコ3号機の導入で岡崎事業所を含めたユニチカグループのポリエステルSB生産能力(公称)は25%増の年産3万トンとなった。