帝人フロンティアと浜松医科大/繊維でがん治療副作用対策/生活アシスト手袋・指サック開発

2018年02月02日 (金曜日)

 帝人フロンティアと浜松医科大学はこのほど、がんの薬物療法による指紋消失や指先摩擦力消失といった副作用の対策商品として生活アシスト手袋・指サック「ナノぴた」を開発した。

 がん薬物療法では指紋消失や末梢神経障害による指先のしびれといった副作用が起こるケースがある。特に指紋消失による指先の摩擦力消失は新聞や本のページをめくれない、瓶のキャップを開けられないといった状況を引き起こし、生活の質の低下に悩む患者が多い。

 この問題に対して浜松医科大学の針山孝彦教授と帝人フロンティアが共同開発したのがナノぴた。針山教授のバイオミメティクス(生体模倣)研究とがん治療の知見、帝人フロンティアのナノファイバー「ナノフロント」の技術を融合させることで開発に成功した。

 ナノぴたは、掌側に直径700ナノメートルのポリエステル繊維「ナノフロント」を使用。針山教授の研究からナノフロントの表面構造はニホンヤモリなど接着力の高い生物の脚先構造との類似が確認されており、これが高いグリップ力を実現する。

 8月31日から9月1日まで福岡国際会議場で開かれる日本がんサポーティブケア学会の学術集会でナノぴたを初披露する予定。帝人フロンティアでは2018年秋から国内の医療商社を中心に幅広く提案・販売を進める。