ジャパン・ヤーン・フェア プレビュー(2)/JYFこれがジャパンクオリティー

2018年02月15日 (木曜日)

〈泉工業/珍しいストレッチラメ〉

 泉工業はポリウレタンフィルムに金属を蒸着したストレッチラメやセルロースフィルムによるセルロースラメなどユニークなラメ糸を紹介する。

 ストレッチラメは、ラメ自体が伸縮性を持ち、蒸着した金属が伸縮時に割れたり剥離したりしないのが特徴。セルロースラメは反応染料で染色できる。このため既に綿紡績などが関心を示す。

 そのほかにも透明ラメのマットタイプや糸商の福富と協力し、福富が販売している原糸を使ったラメ入りネップ糸も開発した。ベース糸は分散染料、ネップはカチオン染料で染まる。そのほかラメに関する「お悩み相談」をテーマに掲げ、ラメ糸の情報提供にも重点を置く。

〈伊高撚糸/「ノーカットモール」提案〉

 伊高撚糸(愛知県江南市)は、意匠撚糸「ノーカットモール」を出品する。同社が扱う従来のモール糸は3400円ほどだが、その半値以下で供給できる。生地にしたときのモール調の柔らかい風合いが特徴。

 ポリエステルのマイクロファイバー製で、モールのような方向性がないため織布しやすく、毛抜けが少ない。毛番の8番単糸で備蓄販売し、注文は1キロから受ける。今後のニーズによりバリエーションも増やす。

 将来的にはノーカットモールで年間1千万円の売上高を目指す。新規開拓に加え、モールの代用として価格面で取りこぼしていた顧客への販売を狙う。

〈大津毛織/コットンジロンラム初登場〉

 大津毛織(大阪府泉大津市)は、高級紡毛糸と幅広い価格に対応可能なウール・綿・ナイロン混の新素材「コットンジロンラム」をアピールする。

 高級ゾーンに向けては繊度14マイクロメートル以下のヤングカシミヤ100%の紡毛糸や繊度15マイクロメートル以下の羊毛を選び抜いて原料にした紡毛糸を打ち出す。

 コットンジロンラムは今回、展示会で初めて披露する。織り、編み両方に対応し、セーター、パンツ、靴下など幅広い用途での利用を想定する。

 混率は綿50%、ウール30%、ナイロン20%。ウール・綿の風合いの良さと抗ピリングが特徴、ナイロンで強度を高めた。糸、生地の両方で販売、わた染めで20色を展開する。

〈オーミケンシ/新たな「クラビオン」誕生〉

 オーミケンシは快適性、美容・健康、環境をテーマに独自の繊維素材を展示する。

 昨年の創業100周年を機にロングセラーの抗菌防臭糸「クラビオン」を進化させた「クラビオンアクティブ」と「クラビオンオールシーズン」の2タイプを初披露する。

 クラビオンアクティブはスポーツ衣料用途を想定。素材の混率は異型断面の機能ポリエステル70%・レーヨン30%で渦流紡績糸。汗を効率的に吸い上げ、素早く蒸散し清潔で涼しく、ドライな着心地を実現する。

 クラビオンオールシーズンは、爽やかな着心地でありながら、中空繊維使いで保温性もある。レーヨン50%・中空機能ポリエステル50%。出張や旅行などで気候の異なる場所を行き来しても快適な被服内環境をサポートする。

〈大垣扶桑紡績/梳毛・紡毛の複合糸〉

 初出展となる東レグループの大垣扶桑紡績(岐阜県大垣市)は、梳毛と紡毛用の原毛をハイブリットしたウール高率混糸(ウール90%・ナイロン10%)「レボール」や新開発の麻調ポリエステル100%紡績糸をメインに出品する。

 2~4インチの紡機を持つ強みを生かし、異繊度・異繊維長を複合化し、独自の新技術「ノーカットウール方式」も活用し開発したレボールは、上質でソフトな風合い、滑らかな肌触りを持つ。麻調ポリエステル100%紡績糸も多彩な紡機を生かすとともに東レグループの開発会議から生まれた。むら感など麻のナチュラル感を持ちながら、機能性もある。その他、遮熱ポリエステル紡績糸なども提案する。

〈近藤/ミンク調ファーモール糸〉

 近藤(愛知県一宮市)は、ミンクタイプのファーモール糸を提案する。従来のものより風合いが良く、価格は同程度か若干安価で供給できる。

 ナイロン100%で、特殊な原料と加工によってミンクに近い手触りを実現。柔らかさもありつつ、独特のハリによって、しっかりと毛が立つ。

 15番、6番単糸の2種類を備蓄販売し、今後は顧客のニーズに応じてカラー展開も検討する。編地関係の顧客からは既に高い評価を得ている。

 ほかにも、インテリア向けとして、ポリエステルを使ったスラブ、ブークレ、モール糸も展示する。壁紙、椅子張り地、クッション地、ベッドカバー用途としてアピールする。

〈カワボウテキスチャード/総合ブック帳を刷新〉

 カワボウテキスチャード(岐阜県羽島市)は、加工などを紹介する総合ブック帳を刷新した。代表的な加工と併せて、定番から新商品まで48種類の糸を掲載し、展示会でアピールする。

 現在、同社が力を入れている加工や糸などに内容をアップグレードした。7~8年前に作った旧ブック帳は2冊あったが、今回1冊にまとめた。加工ごとのカテゴリーに分けて、それぞれタイプ別の糸を紹介している。

 環境配慮型の商品として、リサイクルポリエステルを使ったファンシーヤーンも訴求。100色以上備蓄する原着ポリエステルも染色の工程がないため、エコな商品としてアピールする。

〈タオルヤーンクラブ/合繊混のタオル糸〉

 信友と国内の紡績10社で構成するタオルヤーンクラブは、20品番のタオル糸を訴求する。新素材としては、合繊と綿の複合糸を提案。現在、流通するタオルのほとんどは綿100%で、合繊混のタオルは珍しい。

 合繊はポリエステルを使い、混率は50、30、10%などさまざまなタイプがある。原着ポリエステルを使ったり、綿部分だけを染色したりして、メランジ調や杢(もく)調を表現するなどカラーバリエーションをアピールする。

 タオルとしての機能も十分。ポリエステルそのものが速乾性に優れるほか、消臭機能を持たせたレーヨンを複合したタイプもそろえる。高級ゾーン向けとして展開する。

〈新内外綿/環境素材に有機綿糸と竹糸〉

 新内外綿は環境に優しい素材の打ち出しを強める。今回展で目玉となるのはオーガニック綿と竹繊維。両方とも生成りの原綿を展示しこれまでの商品イメージの刷新を図る。

 15回連続出展となる。これまで得意の杢(もく)糸やカラフルなボタニカルダイを中心に据えてきたが、今回は環境というコンセプトをメインにする。

 オーガニック綿にはOCSの認証を受けたインド産中長綿を使用。10~80番手単で供給する。一方、竹糸は20~30番手単。綿混でアパレル、雑貨への供給を想定する。

 京都造形芸術大学でファッションを学ぶ学生に竹糸使い生地を提供し、今回は学生らが企画したワンピース、ドレスなども展示予定。

〈三幸毛糸紡績/高級獣毛中心にPR〉

 三幸毛糸紡績(名古屋市中村区)は、モヘアやアルパカといった高級獣毛を中心に、太番手のファンシーヤーンやかすり染め糸を訴求する。

 毛足の長い生地がトレンド傾向にあるため、シャギー調のループ糸やタム糸の提案に力を入れる。特に太番手のループ糸は編み、織りの双方で顧客からの引き合いが強いという。モヘア高混率にすることで、他社との差別化を図る。かすり染め糸は暖色系から寒色系まで幅広いカラーを展開する。

 原毛価格の高騰により、ウールと高級獣毛との価格差は縮まりつつある。そのため、価格面で敬遠されていた高級獣毛を顧客に提案しやすい環境にあり、同社も期待を寄せている。

〈茶久染色/快適性重視した糸加工〉

 茶久染色(愛知県一宮市)は快適性を重視した糸加工提案を行う。一つは着用感に関わるストレッチ。綿のコアヤーンやポリエステル、ナイロンの高捲縮糸など、染色加工技術に加えてワインダーも保有する特徴を生かす。

 機能糸では部屋干し臭にも対応した抗菌加工を訴求する。国内はもちろん、中国などで部屋干しが増えることもにらむ。

 その他、麻糸や和紙糸など比較的硬い素材に対するソフト加工は織布、編み立てなど生産面を意識した打ち出しになる。難燃加工などさまざまな加工ができる強みも訴求する。ブースでは春夏シーズンを意識したカラーを施した天然繊維、合繊をチーズで展示する。

〈アミぅ/ダブルリリヤーン訴求〉

 リリヤーン製造の高田編物(愛知県江南市)が設立した販売会社アミぅ(同市)は、太い糸に細い糸を巻き付けたダブルリリヤーンを訴求する。

 自社で改造した設備を用いて、中と外の糸を編み込む絶妙のバランスを実現。その結果、中の糸の色が表面に透けたように見える。小物向けの用途としてアピールする。

 超太番手のリリヤーンも開発。0.1番手以上という太さで、中空構造になっており、ソフトさが特徴。近年、人気が高まっているアームニッティング用の手芸糸として訴求する。

 ほかにも、ハリ・コシがありチクチク感が少ないファーも提案する。

〈東洋紡糸工業/アクリル混紡毛を糸初披露〉

 東洋紡糸工業(大阪府忠岡町)は、高級衣料用のカシミヤ糸に加えアクリル高混率紡毛糸を初披露する。

 混率はアクリル60%・ナイロン21%・ウール15%・カシミヤ4%、30番手双糸。原料の繊度は0.6デシテックスと極めて細い繊維を使う。獣毛100%素材に比べ幅広い価格帯に応じられる。物性としては高強度でふっくらした質感と軽さが特徴。

 秋冬衣料用途以外に年間を通じて売れる麻混素材も新たに開発した。混率は麻50%・レーヨン30%・ウール20%。得意とする獣毛原料主体の糸ではウール90%・ベビーカシミヤ5%・ブルーフォックス5%混の最高級素材も新たに投入する。シルク100%素材も出品予定。

〈帝人フロンティア/「ソロテックス」を多彩に〉

 帝人フロンティアはポリトリメチレン・テレフタレート(PTT)繊維「ソロテックス」を長繊維、短繊維紡績糸で多彩に提案する。

 ソロテックスはストレッチ性など機能に加えて他素材との混繊、混紡などで豊富な糸バリエーションを紹介する。梳毛調素材「ソロテックス フルフラン」など特徴のある素材も注目。さらに資材用途で実績のある糸も提案することで新規用途開拓を狙う。車両用途で採用されている部分バイオ原料ポリエステルも環境配慮素材として提案する。また、同じく出展する東邦テキスタイルとも連携し、帝人グループとして素材提案の強みを打ち出す。

〈東洋紡STC/衣料用に加え産資用糸も〉

 東洋紡STCは、東洋紡、東洋紡テクノウールと共同出展する。綿、ウール、合繊の衣料用糸に加え、産業資材用途の高強力ポリエチレン素材「ツヌーガ」「イザナス」も出品する。

 前回展の倍の18平方メートルのブースで幅広い商材を展示する。衣料用では2020年に開発から50周年を迎える長短複合紡績糸「マナード」をアピールする。「スーピマ」綿と「海島綿」を交配した綿100%糸「マスターシード」やシルケット糸「クレモード」などロングセラー商材も充実。

 環境対応素材として衣料用再生ポリエステル、有機栽培綿糸を初出品する。ポリエステルでは透け防止、遮熱・UVカット機能を持つ機能糸「トライクール」がイチ押し。

〈トスコ/創立100年の麻素材を〉

 トスコはヤーン・フェアのインデックスコーナーを絡め、リネン、ラミー、ヘンプといった麻素材の違いを分かりやすく説明する。ブースでは好調のリネントップ糸、ラミートップ糸のほか、ラミーとモヘアの混紡糸なども提案する。

 同社は原料から紡績、生地までのトレーサビリティーを明確に証明できる一貫生産体制が強み。「原産地や混率証明も説明できる。欧州のどこの原料で、中国のどこで紡績したか。エシカルな流れもある。糸、織物、ジャージーで訴求する」と言う。19春夏の「プルミエール・ヴィジョン」にも出展。「今年3月に創立100周年を迎える。当社の原点であるラミーを中心に提案」する。

〈東和毛織/特別厳選の南仏産ウール〉

 東和毛織(愛知県一宮市)は、特別に厳選した南フランス産のメリノウールを使った4番単のロービング糸、5番単の無撚リリヤーン糸などを提案する。

 同国のメリノウールはかさ高性や軽さが特徴。ただ、原毛に不純物が混じるなどの問題があったため、同社は22¥文字(G0-ACA3)㍍という細い繊度のウールを集め、そこからさらに品質の悪いものを外し、厳選して糸にした。3月に5㌧入荷し、年間では15㌧購入する予定。

 定番のエアリースパンはウール100%の2品番、アルパカやブリティッシュウール使いなどのシリーズをそろえる。梳毛と紡毛の2層構造で空気を含み、軽さや暖かさがある。

〈長谷川商店/シルク中心に製品で提案〉

 長谷川商店(愛知県一宮市)は、シルクを中心とした天然繊維に特化した糸を、セーターなどの衣料品からストールや帽子、靴下といった小物までを製品で提案する。

 同社はシルクをはじめ、カシミヤ、モヘア、綿、ウールなどの原料をメインとした糸の製造を得意とする。今回展は糸の見本を減らし、糸にマッチした製品20~30点を並べ、来場者に訴求する。

 絹紡糸で編んだセーターは、シルクの光沢感を生かした同社のオリジナル商品。長袖から半袖、Vネック、クルーネックにまで対応。20色を備蓄販売し、袖や首元の色を変えることもできる。さらに、綿やウールなどに素材を変えることも可能。

〈豊島紡績/軽くソフトな「わたあめ」〉

 豊島紡績(名古屋市中区)は、軽さとソフトさを追求したストレートタイプのファンシーヤーン「わたあめ」を訴求する。同社の新作で今回展が初めての披露。

 スーパーエクストラファインウールを原料にした。スケールオフで非塩素加工を施したタイプは、柔らかいタッチと独特のぬるみが特徴。生地糸としてアピールする。3色展開のトップ染め糸もあり、いずれも自社で加工する。

 同ウール使いでは、ウール100%のほかに、カシミヤ混、アクリル混、ポリエステル混などの混紡糸や起毛糸もそろえた。これまで展開してきた「アラン」「ブーマー」など人気商品も展示する。

〈豊島/「テンセルリュクス」PR〉

 豊島は、レンチング社が開発したテンセル長繊維「テンセルリュクス」を新商品として初めて出展する。今後、国内での販売や提案に力を入れる。

 テンセルリュクスは、再生可能な木材パルプから製造されたサステイナブルな再生セルロース長繊維。滑らかな感触と、流れるようなドレープ感が特徴で、上品なシルエットを表現できる。シルク、カシミヤ、ウールなどの繊維との複合にも優れ、豊かな色彩表現も可能。

 ほかにも、高品質な反毛を原料とした「アプリクション」や、ニュージーランド産のノンミュージングウールを使った「ローバー」なども展示する。